ウガンダのコーヒーについて
その味わいを「品種」や「精製」など具体的な要因と合わせて解説します。
ウガンダのコーヒーの味わい

高品質なロブスタの原産地として知られるウガンダ、近年、精製設備の向上で良質なアラビカ種の流通も増え、アフリカならではの華やかさとコクが調和した味わいに注目が集まりつつあります。
では、なぜそのような風味が生まれるのか、品種、標高、精製、等級の4つの観点から解説します。
ウガンダのコーヒーの品種

土着品種のロブスタを中心に近隣から持ち込まれたアラビカ種も栽培。
ウガンダのロブスタ種:同国特有の土着品種のロブスタは他と比べて酸味を感じやすく高いカップクオリティに定評あり。いまだに野生種の繁殖もあるようで、ロブスタの輸出量は世界第2位を誇る。
カッピングプロファイル
–
ウガンダのアラビカ種:アラビカ種はエチオピア、ケニア、マラウィ、タンザニアなどから持ち込まれた品種が多くを占めている。
アラビカの二大品種と呼ばれ、原種とも言われる品種。
栽培品種では最も古い品種で、スペイン語で「標準的」という意味がある。
香り高く、味わいも品の良い甘味と酸味を併せ持つという素晴らしい特徴がある一方、収穫量が少なく耐病性も低いため、現在ではとても貴重な品種。
カッピングプロファイル
–
1930年(正確には1935年)にケニアのスコット研究所(SL)が、乾燥に強いタンザニア原産の品種から選別した。
出典:ビジュアルスペシャルティーコーヒー大事典2ndedition「コーヒーの品種」
サイズは平均よりかなり大きく、果実味のあるコーヒーができると考えられていて、カシス例えられることが多い。
SL28はかつて”Tanganyika Drought Resistant”(タンガニカ※現在のタンザニアの矮小耐性種)と呼ばれていた単一の木を1935年に選抜したのがもとになっています。
出典:コーヒー品種の樹海をさまよう!! 其の四、アフリカ編Part1 | Roast Design Coffee Blog
近年の研究の結果だとSL28種はブルボン種系に属する品種ということが分かっています。
カッピングプロファイル
ダークフルーツ、クリーミー、シロップ
インドで発見された自然変異種で、品種名は発見された農園の主人の名に由来している。
アラビカ種では珍しくさび病への耐性があるものの味わいにかんして個性が出にくいとの意見も。
インド南西部マイソール地方で発見されたティピカの突然変異とも他種との自然交配とも言われている品種。1920年頃、マイソール地方にあったロバート・ケント氏が所有するドッデングーダ農園で発見された。
出典:知らなくてもいい珈琲の話-その20【コーヒーの品種-4】 | 京都、下鴨の自家焙煎珈琲専門店カフェ・ヴェルディ店主のブログ紹介 (verdi.jp)
カッピングプロファイル
–
上記の他にSL14、SL34などの品種も栽培されています。
エチオピア産銘柄の価格高騰を受けて、近年注目されつつあるウガンダのコーヒーは、高品質ロブスタだけでなく、アラビカ種の流通も増えつつあるとの事。

年間300万本のコーヒーの苗木の配布を目標に掲げる政府の支援などもあり、国としてコーヒーの栽培に力を入れているウガンダ、これからの成長に期待。
ウガンダのコーヒー生産地の標高

コーヒーを栽培する際、一般的に標高が高い方良いとされ、朝晩の寒暖差がある事で、実が詰まった良質なコーヒーになる事が知られる。
では、ウガンダの標高はどうなっているのか。
✔︎ウガンダの標高はロブスタの栽培地も含め高い
ウガンダの主要な生産地で最も低い標高は、ビクトリア湖流域の中央低地1200m~1500mそして、最も高い標高はブギスの2300m
- 通常1000m以下の低地で栽培されることの多いロブスタ種だがウガンダでは1500m以上の高地で栽培されている
- ブギス(エルゴン山一帯)はケニアの国境に近く、特に良質な地域でではアラビカ種の栽培が多いされる。同エリアはウォッシュドでの精製が多く、肉質も固め。
ウガンダで行われる主な精製方法

ウガンダで行われる精製方法は主に2つ
- ウォッシュド(水洗式)
- ナチュラル(乾式)
✔︎ウガンダではアラビカ種のウォッシュドはウーガー、ナチュラルはドルーガーと呼ばれている。
収穫したコーヒーチェリーの果肉を除去して、発酵槽に浸けてから洗浄する事で、果肉を全て取り除いてから乾燥させる方法。
この精製方法は他の方法と比べ、早く均一に乾燥させられるので失敗が少なく、クリアな味わいになるが、発酵に使われた水は有害な可能性がある事や、水源が確保された地域でしか行えないなどの問題も。
収穫したコーヒーチェリーをそのまま天日干しにする方法。レンガ造りのパティオ(中庭)に広げることもあれば高床式の乾燥棚で行うこともある。適切に乾燥したら、果肉や外皮を脱穀して、精製された生豆は出荷までそのまま保存される。
果肉がついたそのままの状態で乾燥させるので、フルーティーなフレーバーが付与される傾向がある一方、管理が難しく、品質が安定しない傾向があるなどの欠点も。

ウガンダコーヒー開発局(UCDA)の支援などもあり精製の質は良いとされている。
等級はどのように決まるのか

✔︎ウガンダの等級は欠点豆の多さとスクリーン(豆の大きさ)で決められる
ウガンダの等級の方式
欠点豆の割合とスクリーン、産地と精製方法等で等級が決められる。
| 等級 | 条件 |
|---|---|
| ブギスAA | ブギス産でS19以上が90%以上、残り10%がS16以上、欠点豆10%未満 |
| ブギスA | ブギス産でS16以上が90%以上、残りはS15以上の豆。欠点豆は10%未満 |
| AA | ブギス産以外でS17かS18 |
| A | ブギス産以外でS15かS16 |
| ウーガー | ウォッシュドのウガンダ産アラビカ種の総称 |
| ドルーガー | ナチュラルのウガンダ産アラビカ種の総称 |
欠品数方式の等級付けは直接の味わいと関係性は薄いものの、高得点で良い等級のものは精製や管理が上手くいっているということなので、必然的に味わいは良くなる。

この下にB~Cと下位のグレードが続くが日本での流通はほとんどない。
【ウガンダの隠れた名品ブギス「ブルーナイル」】
「ブルーナイル」 は Qグレーダーカッピング80点以上のブギスの最高ランク品。
ちなみに、「ブルーナイル」の語源であるナイル川の源流があるエチオピアの一部銘柄(ウォッシュド)にもブルーナイルと(ナチュラル)ホワイトナイルと呼ばれる銘柄があったりする。
ウガンダのロブスタが高品質な理由

✔︎品種、標高、土壌から考えるウガンダのロブスタの秘密
その品質の高さで、エスプレッソの本場とされるヨーロッパで、盤石の地位を築いているウガンダ産のロブスタ。違いを分ける要素は主に以下の3つがあげられる
ひとくちにロブスタ種といっても、原産地ごとに微妙に品種が異なり、ウガンダのロブスタはもともとその土地に自生していた土着品種。他にコンゴ由来の品種グループ、ギニア由来の品種グループのものがある。
栽培のしやすさなどから1000m以下の低地で栽培される事が多いロブスタ種だが、ウガンダでは1200~1500mの比較的標高の高いエリアでの栽培もされている。コーヒーを栽培する際、一般的に標高が高い方が良いとされ、朝晩の寒暖差がある事で、実が詰まった良質なコーヒーになる事が知られる。
ウガンダの土壌は(エリアにもよるが)ローム質という粘性の高い土壌で、ロブスタの栽培に適した地質であるとされる。
コーヒー系のYouTubeでおなじみ「WAKO COFFEE」のオギハラさんや「Red Stone Coffee」の赤石さんが各産地のロブスタを飲み比べ解説されている動画。第一弾の方ではロブスタの遍歴についての話もあるので、そちらも合わせてみるのがおすすめ。
まとめ
ウガンダのコーヒーの味わいについて、解説しました。
✔︎主な栽培品種
- ロブスタ種
ウガンダのロブスタ種はもともと自生していた土着品種。 - アラビカ種
・ティピカ
・SL28
・ケント
他にSL14、SL34などの品種も栽培されており、エチオピア産コーヒーの高騰を受けて、注目度があがっている。
✔︎生産地の標高
生産地の標高は1200m〜2300mで、ロブスタの栽培地も含め高い。
✔︎主な精製方法
- ウォッシュド
- ナチュラル
✔︎等級
- 豆の大きさ(スケール)と欠点豆の割合、産地による等級分け
✔︎ウガンダのロブスタが高品質な理由
他の生産国と品質を分ける要素として、品種、標高、土壌などがあげられる
今回説明した4つ+1の項目が味わいに大きく関わり、生産地ごとの違いを生み出しています。
ウガンダのコーヒーを選ぶ時の参考にしてくださいね。












コメント