インドネシアのコーヒーについて
その味わいを「品種」や「精製」など具体的な要因と合わせて解説します。
インドネシアのコーヒーの味わい
スマトラ式のマンデリンや、ジャバ、トラジャなどエリアによってさまざまな特色があるインドネシアのコーヒー。
詳細について、品種、標高、精製、等級の4つの観点から解説します。
インドネシアのコーヒーの品種
インドネシアの品種は交配種が多くバラエティに富む。
インドネシアのアラビカ種:同国でのアラビカ種の生産量は全体のわずか1割程度で、高級なコーヒーとして扱われることが多く、中でも北スマトラやアチェで生産されたアラビカ種のスマトラ式コーヒーは「マンデリン」と呼ばれる。
アラビカ種では他に「ウスダ ロングベリー」と呼ばれる品種などがある。
カッピングプロファイル
スマトラ式以外で精製されているものは、グレープフルーツやオレンジのような明確な風味が感じられる場合がある。
ハイブリッド品種:アラビカ種とロブスタ種の交配種。アラビカ種の優れた風味特性と、ロブスタ種の強い耐病性などを併せ持つ品種。
ハイブリッド品種では他に「シガラルタン」「ラスナ ロングベリー」と呼ばれる品種などがある。
カッピングプロファイル
単一品種としてはほぼ流通しておらず、カップの詳細は不明。ハイブリッド品種は全体的にスマトラ式の精製由来のアーシーな苦味と香りが支配的。
リベリカ種(との交配種):アラビカ種やロブスタ種(カネフォーラ種)と同じ原種に分類され、海抜200m以下の低地でも栽培可能、害虫病に強い品種だが、風味でアラビカ種やロブスタ種には劣るとされる。流通量は全体の1%にも満たない。(※)19世紀終盤にさび病で壊滅状態のアラビカ種に代わる品種としてインドネシアの持ちこまれた。
出典:「新しい珈琲の基礎知識」208p
ジェンバー(リベリカ種×ケント)
オナン・ガジャン(ジェンバー×ブルボン)
カッピングプロファイル
単一品種としてはほぼ流通しておらず、カップの詳細は不明。ハイブリッド品種は全体的にスマトラ式の精製由来のアーシーな苦味と香りが支配的。
ロブスタ種(カネフォーラ種):正しくはカネフォーラ種の変種とされるが、カネフォーラ種をのほとんどがロブスタ種でカネフォーラ種全般がロブスタ種と呼ばれる。病害虫に強く、高温多湿にも適応する事から、ラテン語で「強靭」を意味する「Robust」がもとになっている。成長も早く収量も多いことから量産品種として栽培されるが、アラビカ種と比較すると風味が劣るとされる。
AP-1:「アフターポリッシュを意味する。ナチュラル精製で、精製後磨かれた物。廉価な銘柄。」
WIB-1:「ウォッシュド精製で、インドネシアロブの最高等級品。」
カッピングプロファイル
麦を焦がしたような香りと、深い苦味が特徴。AP-1は渋さとゴムのような臭いを感じることもある。
品種が多く日本での知名度も高いがアラビカ種やハイブリッド品種は全体の1割。
また、一部の品種にみられる特徴として細長い形状の豆はロングベリーと呼ばれ、同国の特色の一つとされる。
ロングベリーの品種には ロングベリーと表示。
2019年にインドネシア初のCOE(カップオブエクセレンス)が開催されて、従来のスマトラ式以外の方法で精製されたコーヒーも数多くエントリーし入賞。これからどんどん変化していく事が予想される。
インドネシアのコーヒー生産地の標高
コーヒーを栽培する際、一般的に標高が高い方良いとされ、朝晩の寒暖差がある事で、実が詰まった良質なコーヒーになる事が知られる。
では、インドネシアの標高はどうなっているのか。
✔︎インドネシアの標高はエリアによりさまざま。
インドネシアの主要な生産地で最も低い標高は、ジャワ島西側の900mそして、最も高い標高はジャワ島東側の1900m
- 特にジャワ島の標高はエリアにより様々なので、それによる生豆の硬度の傾向にもバラつきがある
- スマトラ島エリアより、スラウエシ島の方が標高が高く、ウォッシュドも多いので硬く、酸味が出やすいことが予想される
インドネシアで行われる主な精製方法
インドネシアは独自の手法で
- スマトラ式
- アチェ式(※)
✔︎インドネシアは雨や霧が多い気象条件化で独自の精製方法スマトラ式が行われる
上記の2つの方法の他に一部でナチュラルやウォッシュドも行われている。
収穫期が雨季と重なるインドネシアは乾燥に十分な時間をかけることが困難で、こういった背景から独自の短時間で乾燥させる「スマトラ式」が行われるようになった。
(※)「アチェ式」についての情報の出典:「新解釈コーヒーの世界」(丸美珈琲店)Vol.16コーヒー豆の産地「インドネシア編」
等級はどのように決まるのか
✔︎インドネシアの等級は欠点数により決められる
300gの見本に混入される欠点豆の点数や数により等級が分けられる。
等級 | 欠点数 |
---|---|
グレード1 (G1) | 0~11 |
グレード2 (G2) | 12~25 |
グレード3 (G3) | 26~44 |
グレード4a (G4a) | 45~60 |
グレード4b (G4b) | 61~80 |
グレード5 (G5) | 81~150 |
グレード6 (G6) | 151~225 |
欠品数方式の等級付けは直接の味わいと関係性は薄いものの、高得点で良い等級のものは精製や管理が上手くいっているということなので、必然的に味わいは良くなる。
最高等級のG1より上のSG(スーパーグレード)と呼ばれるものもありますが、定義はあいまいで、等級としては機能していないよう。
インドネシアの「マンデリン」とは
✔︎日本でも人気の高いマンデリンの語源はインドネシアの民族の名前
マンデリンの定義
全国公正取引協議会連合会によると
マンデリンとは
出典:全国公正取引協議会連合会公式サイト
インドネシアの北スマトラ州及びアチェ州(タケンゴン周辺のガヨウマウンテン生産地区を除く)にて生産されたアラビカコーヒー豆をいう。
となっており、精製方法が「スマトラ式」であることが必要だとは記述されていないものの実質スマトラ式のものを指しているのが実情。
マンデリンの語源
1908年に流行したさび病によって、従来のアラビカ種を植えていた農園が壊滅的な被害を受けたため、さび病に強いロブスタ種に切り換えられたが、その中でかろうじて耐えたアラビカ種の栽培を行ったマンデリン族にちなみ、インドネシアスマトラ島における一部地域で栽培される、アラビカ種のコーヒー豆の銘柄が「マンデリン」とされている。
「マンデリン族」とはインドネシアに住むバタック族の中のマンダイリン系の人たちの呼び名。
まとめ
インドネシアのコーヒーの味わいについて、解説しました。
今回説明した4つの項目が味わいに大きく関わり、生産地ごとの違いを生み出しています。
インドネシアのコーヒーを選ぶ時の参考にしてくださいね。
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