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【生産品種も紹介】コーヒー|インドネシアの特徴を解説

コラム
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インドネシアのコーヒーについて
その味わいを「品種」や「精製」など具体的な要因と合わせて解説します。

スマトラ式のマンデリンや、ジャバ、トラジャなどエリアによってさまざまな特色があるインドネシアのコーヒー。
詳細について、品種、標高、精製、等級の4つの観点から解説します。

インドネシアのコーヒーの品種

インドネシアの品種は交配種が多くバラエティに富む。

アラビカ種

インドネシアのアラビカ種:同国でのアラビカ種の生産量は全体のわずか1割程度で、高級なコーヒーとして扱われることが多く、中でも北スマトラやアチェで生産されたアラビカ種のスマトラ式コーヒーは「マンデリン」と呼ばれる。

スマトラ(ティピカ亜種)

「クラシックスマトラ」↓という場合は、インドネシア西部に残されていたアラビカ種のことですが「スマトラ」という場合は、ブラジルから流入したブラジル産の品種のことです。

出典:コーヒーコーディネーター養成講座テキスト1

イエメンからオランダ人によってインドを経てジャカルタに持ち込まれたティピカ種。ジャワ島の西側に植えられ、その後インドネシア各地に伝播していきました。1880年代にさび病によってほぼ殲滅。北スマトラの一部。それとジャワ島の限定された区域に残っています。

出典:Roast Design Coffee Blog様
ジャバ/アビシニア ロングベリー

エチオピア原産の品種。名前の由来はアラビア語でのエチオピアの旧名「アビシニア」からきている。オランダの植民地時代にカメルーンや中米に伝搬したものは、栽培されていた「ジャワ島」の地名にちなみジャワとも呼ばれる。

アラビカ種では他に「ウスダ ロングベリー」と呼ばれる品種などがある。

カッピングプロファイル 
スマトラ式以外で精製されているものは、グレープフルーツやオレンジのような明確な風味が感じられる場合がある。

ハイブリッド品種

ハイブリッド品種:アラビカ種とロブスタ種の交配種。アラビカ種の優れた風味特性と、ロブスタ種の強い耐病性などを併せ持つ品種。

ティムティム(ティモールティムール) ロングベリー

東ティモールで生まれた世界初のハイブリッド品種。突然変異によりアラビカ種とロブスタ種の自然交配(※)から生まれた「ハイブリッドティモール」とも呼ばれ、様々なハイブリッド品種の元となっている。

ハイブリッドティモール種は、偶発的な突然変異により染色体(DNA)の数がアラビカ種と同等になったカネフォラ種と在来のアラビカ種との自然交配によって誕生した異種間交配種です。

出典:keycoffee.co.jp
アテン

アラビカ種とロブスタ種を交配したハイブリッド・ティモールとカトゥーラ種を交配したカチモール種の一種。

主にスマトラ島を中心に植えられています。アチェ州Aceh Tenggah地区の名前からアテンと名づけられました。

出典:Roast Design Coffee Blog様

ハイブリッド品種では他に「シガラルタン」「ラスナ ロングベリー」と呼ばれる品種などがある。

カッピングプロファイル
単一品種としてはほぼ流通しておらず、カップの詳細は不明。ハイブリッド品種は全体的にスマトラ式の精製由来のアーシーな苦味と香りが支配的。

リベリカ種との交配種

リベリカ種(との交配種):アラビカ種やロブスタ種(カネフォーラ種)と同じ原種に分類され、海抜200m以下の低地でも栽培可能、害虫病に強い品種だが、風味でアラビカ種やロブスタ種には劣るとされる。流通量は全体の1%にも満たない。(※)19世紀終盤にさび病で壊滅状態のアラビカ種に代わる品種としてインドネシアの持ちこまれた。
出典:「新しい珈琲の基礎知識」208p

ジェンバー(リベリカ種×ケント)

オナン・ガジャン(ジェンバー×ブルボン)

カッピングプロファイル
単一品種としてはほぼ流通しておらず、カップの詳細は不明。ハイブリッド品種は全体的にスマトラ式の精製由来のアーシーな苦味と香りが支配的。

ロブスタ種

ロブスタ種(カネフォーラ種):正しくはカネフォーラ種の変種とされるが、カネフォーラ種をのほとんどがロブスタ種でカネフォーラ種全般がロブスタ種と呼ばれる。病害虫に強く、高温多湿にも適応する事から、ラテン語で「強靭」を意味する「Robust」がもとになっている。成長も早く収量も多いことから量産品種として栽培されるが、アラビカ種と比較すると風味が劣るとされる。

AP-1:「アフターポリッシュを意味する。ナチュラル精製で、精製後磨かれた物。廉価な銘柄。」

WIB-1:「ウォッシュド精製で、インドネシアロブの最高等級品。」

カッピングプロファイル
麦を焦がしたような香りと、深い苦味が特徴。AP-1は渋さとゴムのような臭いを感じることもある。

品種が多く日本での知名度も高いがアラビカ種やハイブリッド品種は全体の1割
また、一部の品種にみられる特徴として細長い形状の豆はロングベリーと呼ばれ、同国の特色の一つとされる。

ロングベリーの品種には ロングベリーと表示。

2019年にインドネシア初のCOE(カップオブエクセレンス)が開催されて、従来のスマトラ式以外の方法で精製されたコーヒーも数多くエントリーし入賞。これからどんどん変化していく事が予想される。

インドネシアのコーヒー生産地の標高

コーヒーを栽培する際、一般的に標高が高い方良いとされ、朝晩の寒暖差がある事で、実が詰まった良質なコーヒーになる事が知られる。
では、インドネシアの標高はどうなっているのか。

インドネシアの主要な生産地で最も低い標高は、ジャワ島西側の900mそして、最も高い標高はジャワ島東側の1900m

  • 特にジャワ島の標高はエリアにより様々なので、それによる生豆の硬度の傾向にもバラつきがある
  • スマトラ島エリアより、スラウエシ島の方が標高が高く、ウォッシュドも多いので硬く、酸味が出やすいことが予想される

インドネシアで行われる主な精製方法

インドネシアは独自の手法で

  • スマトラ式
  • アチェ式(※)

上記の2つの方法の他に一部でナチュラルやウォッシュドも行われている。

スマトラ式(セミウォッシュト)

インドネシアで良く行われる精製方式。スマトラ式では果肉を除去してからの乾燥を(水分含有量が)30~35%で終わらせる。その後パーチメントを取り除いて生豆にしてから、再度、腐敗の心配なく保存できる状態になるまで乾かす。この2回目の乾燥で、コーヒー豆は深い濃緑色になる。

出典:ビジュアルスペシャルティーコーヒー大事典2ndedition「コーヒーの精製」

乾燥を2度行うこと、2度目の乾燥時にパーチメントを除去して生豆の状態で乾燥させることなど、他の方法とは異なる点ばかり。

アチェ式

通常のスマトラ式が収穫してすぐに果肉を除去して乾燥させるのに対し、アチェ式では、収穫してから1日水に漬けてから、果肉除去の工程に進むという違いがある。
ただ、流通時には精製方法の記載があるアチェ産の物もスマトラ式と表記されているようなので、スマトラ式の手法の一つとして扱われているのかも。

収穫期が雨季と重なるインドネシアは乾燥に十分な時間をかけることが困難で、こういった背景から独自の短時間で乾燥させる「スマトラ式」が行われるようになった。

(※)「アチェ式」についての情報の出典:「新解釈コーヒーの世界」(丸美珈琲店)Vol.16コーヒー豆の産地「インドネシア編」

インドネシア発祥コピ・ルアク

コーヒーの実を食べたジャコウネコの糞から未消化のコーヒ豆を取り出した物で、ユニークなフレーバーをもつ珍品として高値で取引される。ただ、ジャコウネコを檻に入れて無理やりコーヒーの実を食べさせるなどの虐待が問題視され、コーヒー関係者の中にはあまり良く思っていない人も。

等級はどのように決まるのか

300gの見本に混入される欠点豆の点数や数により等級が分けられる。

等級欠点数
グレード1
(G1)
0~11
グレード2
(G2)
12~25
グレード3
(G3)
26~44
グレード4a
(G4a)
45~60
グレード4b
(G4b)
61~80
グレード5
(G5)
81~150
グレード6
(G6)
151~225

欠品数方式の等級付けは直接の味わいと関係性は薄いものの、高得点で良い等級のものは精製や管理が上手くいっているということなので、必然的に味わいは良くなる。

最高等級のG1より上のSG(スーパーグレード)と呼ばれるものもありますが、定義はあいまいで、等級としては機能していないよう。

出典:BAHTERA HISISTEM様 写真はバタック族伝統家屋。

マンデリンの定義

全国公正取引協議会連合会によると

マンデリンとは
インドネシアの北スマトラ州及びアチェ州(タケンゴン周辺のガヨウマウンテン生産地区を除く)にて生産されたアラビカコーヒー豆をいう。

出典:全国公正取引協議会連合会公式サイト

となっており、精製方法が「スマトラ式」であることが必要だとは記述されていないものの実質スマトラ式のものを指しているのが実情。

マンデリンの語源

1908年に流行したさび病によって、従来のアラビカ種を植えていた農園が壊滅的な被害を受けたため、さび病に強いロブスタ種に切り換えられたが、その中でかろうじて耐えたアラビカ種の栽培を行ったマンデリン族にちなみ、インドネシアスマトラ島における一部地域で栽培される、アラビカ種のコーヒー豆の銘柄が「マンデリン」とされている。

「マンデリン族」とはインドネシアに住むバタック族の中のマンダイリン系の人たちの呼び名。

インドネシアのコーヒーの味わいについて、解説しました。

インドネシアのコーヒーの特徴

✔︎主な栽培品種

  • アラビカ種
    ・スマトラ
    ・ジャバ
    ・ウスダ
  • ハイブリッド品種
    ・ティムティム
    ・アテン
    ・シガラルタン
    ・ラスナ
  • リベリカ種との交配種
    ・ジェンバー
    ・オナン・ガジャン
  • ロブスタ種
    ・AP-1
    ・WIB-1

アラビカ種やハイブリッド品種は全体の約1割。

✔︎生産地の標高

生産地の標高は900m〜1900mで、エリアによりさまざま。

✔︎主な精製方法

  • スマトラ式

✔︎等級

  • 欠点数による等級分け

300g中の欠点数で等級わけされG1〜G6まで

✔︎インドネシアの「マンデリン」とは

日本でも人気の高いマンデリンの語源はインドネシアの民族の名前

今回説明した4つの項目が味わいに大きく関わり、生産地ごとの違いを生み出しています。
インドネシアのコーヒーを選ぶ時の参考にしてくださいね。

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