エチオピアのコーヒーについて
その味わいを「品種」や「精製」など具体的な要因と合わせて解説します。
エチオピアのコーヒーの味わい

ナチュラル(乾式)の精製の物は、完熟した果実を思わせる、ブドウやラム酒のような濃厚な味わいで、ウォッシュド(水洗式)の精製の物は、フレッシュフルーツを思わせる、オレンジやピーチなどの水々しく爽やかな味わいが特徴です。そしてなんといっても、特有のフローラルな香りをもつ個性的なエチオピアのコーヒー。
では、なぜそのような風味が生まれるのか品種、標高、精製、等級の4つの観点から解説します。
エチオピアのコーヒーの品種

エチオピアの主要品種は在来種のみ
ティピカから派生しているため、特徴は非常に酷似しています。エチオピアのコーヒーの90%はガーデンコーヒー(庭で育てている)やフォレストコーヒー(自生している)のため、品種は自然交配して混ざり合い、厳密に分類するのは難しいとされます。
そんな栽培環境ですが、その味わいは他の品種にはない固有の華やかな香りや、濃厚なラム酒やぶどうのような味わいがあり、非常に優れています。
カッピングプロファイル
ナチュラルグレープ、ラム、などのベリー系、アプリコット、フローラル、紅茶
ウォッシュドオレンジ、ピーチなどのフラッシュフルーツ系、メロン、フローラル
在来種の他に、少量ですがゲイシャ(※)も育てられています。最も高級なコーヒーだと言われるゲイシャですが、実はエチオピアのゲシャ村がで初めて発見された物で、発見された村の名前にちなんで正式名称はゲシャとされていますが、誤って伝わりゲイシャという名前で呼ばれています。

ナチュラルの物は、特に香りや風味ともに、熟したフルーツのような濃厚さがあり、コーヒーとは違う飲み物のようです。
(※)「ゲイシャ」とは
2004年パナマのCOE(カップオブエクセレンス)で1位を獲得して、史上最高額で落札されて一躍有名となった品種のこと。
エチオピアのコーヒー生産地の標高

コーヒーを栽培する際、一般的に標高が高い方良いとされ、朝晩の寒暖差がある事で、実が詰まった良質なコーヒーになる事が知られています。
では、エチオピアの標高はどうなっているのでしょうか。
エチオピアの主要な生産地で最も低い標高は、1400mそして、最も高い標高はイルガチェフェの2200mです。
主要生産地全域が高山地のエチオピアは、良質なコーヒーの栽培に適しているといえるでしょう。
エチオピアで行われる主な精製方法

エチオピアで行われる精製方法は主に2つ
- ナチュラル(乾式)
- ウォッシュド(水洗式)
収穫したコーヒーチェリーをそのまま天日干しにする方法。レンガ造りのパティオ(中庭)に広げることもあれば高床式の乾燥棚で行うこともあります。適切に乾燥したら、果肉や外皮を脱穀して、精製された生豆は出荷までそのまま保存されます。
果肉がついたそのままの状態で乾燥させるので、フルーティーなフレーバーが付与される傾向がある一方、管理が難しく、品質が安定しない傾向があるなどの欠点もあります。
収穫したコーヒーチェリーの果肉を除去して、発酵槽に浸けてから洗浄する事で、果肉を全て取り除いてから乾燥させる方法。
この精製方法は他の方法と比べ、ゆっくり均一に乾燥させられるので失敗が少なく、クリアな味わいになりますが、発酵に使われた水は有害な可能性がある事や、水源が確保された地域でしか行えないなどの問題があります。
等級はどのように決まるのか

エチオピアの等級は欠品豆の数で決められています。
300gの見本に混入される欠点豆の数により等級が分けられます。
等級 | 欠点豆数 |
G1 | 0〜3個 |
G2 | 4~12個 |
G3 | 13~27個 |
G4 | 28~45個 |
G5 | 46~90個 |
実際はG9までの全9等級までありますが、国外へ輸出される物はG5まで。
さらに日本に入ってくる物はG4までとなっているようです。
2008年にECX(エチオピア農産物取引所)が導入されてからは、9箇所の管理施設ごとに等級分け、管理されるので、細かい出自がわからないという問題がありましたが、2017年頃からはSCAA(アメリカスペシャルティ協会)や消費国からの働きかけもあり、ECXを介さずに農協や個人の農園単位での輸出が可能となりました。
この頃から、以前はウォッシュドのみに適用されたG1とG2の等級も、ナチュラルなど他の精製方法の物にも適用されるようになり、Qグレード(カッピング)方式での格付けも行われるようになり、品質が向上しつつあります。
まとめ
エチオピアのコーヒーの味わいについて、解説しました。
- エチオピア在来種
アラビカ種の原種であるティピカに非常に近いとされていますが、自然交配などを繰り返しており、厳密に特定するのは難しいようです。
完熟フルーツの様な味わいと、フローラルな香りが特徴。
生産地の標高は1400m〜2200mで、主要生産地全体の標高が高い。
- ナチュラル(乾式)
失敗のリスクはあるものの、上手くいけばフルーティなフレーバーが付加される。
- ウォッシュド(水洗式)
失敗が少なくクリアな味わいとなるが、発酵水や大量の水を必要とする事など、環境への負荷が大きい。
- 300g中の欠品豆数の数による等級分け
G1〜G9までの9段階評価。日本にはG4以上の等級のものしか入ってこない。
今回説明した4つの項目が味わいに大きく関わり、生産地ごとの違いを生み出しています。
エチオピアのコーヒーを選ぶ時の参考にしてくださいね。
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