東ティモールのコーヒーについて
その味わいを「品種」や「精製」など具体的な要因と合わせて解説します。
東ティモールのコーヒーの味わい

ハイブリッド品種興隆の地として知られる東ティモール。良質なものはまろやかで黒糖のような甘味が感じられます。
では、なぜそのような風味が生まれるのか、品種、標高、精製、等級の4つの観点から解説します。
東ティモールのコーヒーの品種

同国が起源のハイブリッド品種や、原種に近いティピカなどを栽培。
東ティモールのアラビカ種:同国のアラビカ種はティピカを中心にいくつかの品種が栽培されており、ハイブリット品種も含めると生産量の約8割にもなる。
アラビカ種の2大品種で、原種に近いとされる貴重な品種。カリブ周辺、主にジャマイカやドミニカなどでの栽培が有名だが、同国のティピカ種の味わいの傾向もこれらに近いとされる。
カッピングプロファイル
黒糖、マイルド、スムースマウスフィール
ハイブリッド品種:アラビカ種とロブスタ種の交配種。アラビカ種の優れた風味特性と、ロブスタ種の強い耐病性などを併せ持つ品種。
1927年に東ティモールで発見された世界初のハイブリッド品種。突然変異によりアラビカ種とロブスタ種の自然交配(※)から生まれ、様々なハイブリッド品種の元となっている。
※ハイブリッドティモール種は、偶発的な突然変異により染色体(DNA)の数がアラビカ種と同等になったカネフォラ種と在来のアラビカ種との自然交配によって誕生した異種間交配種です。
出典:keycoffee.co.jp
特定の単一品種を指す名称ではなく、ハイブリッド・ティモール種とカトゥーラ種を交配した種の総称。
苗木が中央アメリカから各生産国に広がり、様々なエリアで独自の選抜種が生まれた。
カティモールと同時期に研究、選別が行われた人工交配種で、ハイブリッド・ティモール種とビジャサルチ種で、こちらも特定の単一品種を指す名称ではなく同交配種のの総称。
同じハイブリッド品種としてくくられているが、ロブスタ種と純水なアラビカ種が交配したのは「ハイブリット・ティモール」のみ。
カッピングプロファイル
スパイス系の風味を感じさせるものが多い傾向。
東ティモールで初のハイブリット品種である「ハイブリッドティモール」が発見されたことで広がったハイブリッド品種。アラビカ種とロブスタ種の交配は染色体数が異なるため本来は不可能とされていたためこの発見は非常に大きく、東ティモールはまさにハイブリット品種興隆の地。

厳密にはハイブリッド品種として区別されるが、流通している物はアラビカ種として扱われることが多い。
東ティモールのコーヒー生産地の標高

コーヒーを栽培する際、一般的に標高が高い方良いとされ、朝晩の寒暖差がある事で、実が詰まった良質なコーヒーになる事が知られる。
では、東ティモールの標高はどうなっているのか。
✔︎東ティモールの標高はエリアによりさまざま。
東ティモールの主要な生産地で最も低い標高は、エルメラ県サココ集落の650m~900mそして、最も高い標高は同県のレテフォホ村の1600m
- 東ティモールは国土の6割が山岳地帯となり、勾配の激しいエリアが多い
- 1300m以上のエリアではアラビカ種の栽培が多く、1000m以下のエリアではロブスタの栽培が行われている
東ティモールで行われる主な精製方法

東ティモールで行われる精製方法はウォッシュドと呼ばれる水洗式の方法
✔︎山岳地帯であることや収穫期の天候が安定しないことでウォッシュドが主流となっている。
収穫したコーヒーチェリーの果肉を除去して、発酵槽に浸けてから洗浄する事で、果肉を全て取り除いてから乾燥させる方法。
この精製方法は他の方法と比べ、早く均一に乾燥させられるので失敗が少なく、クリアな味わいになるが、発酵に使われた水は有害な可能性がある事や、水源が確保された地域でしか行えないなどの問題も。

小農家ごとでパルピングと発酵、乾燥まで処理することが多く、アジアのエリアのコーヒーとしてはトレーサビリティがハッキリしたものが多い印象。
等級はどのように決まるのか

✔︎東ティモールでは特に等級は定められていない。
お隣のインドネシア式で欠品豆の数で等級分けされるケースもあるともされるが、実際に流通している物を確認したことはない…
インドネシアの占領下でコーヒー栽培事業が放置された流れもあり、小規模農家を中心に完全無農薬の有機栽培でのコーヒー栽培が盛んに行われている。以上のことから等級より認証が重要視されている。

等級分けはされていないが、スクリーンサイズの揃いや欠品豆の量などは他の生産国の高等級品と比べても遜色ない。
オーガニック大国東ティモール

✔︎占領下で放置されたことで広がったピュワオーガニック栽培
ポルトガルの植民地時代である1815年にブラジルからコーヒーが持ち込まれたことで、始まったコーヒー栽培の歴史。
その後コーヒー産業自体は順調に栄えていくが、1975年に今度はインドネシアに占領されてからはコーヒー産業が衰退。そこから約20年放置されたことで、長い間人の手が入らず結果として無農薬栽培が定着した。
植え替えなどもされず、長期間放置されていたため、原種に近いティピカなども確認されていることや、シェードグロウン(木陰栽培)が行われること、雨季の降雨量が多いことも相まって同国コーヒーのポテンシャルには注目が集まっている。

「特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン」は事業の一つとして東ティモールのコーヒー生産者の支援を行う企業で、焙煎豆や生豆の販売なども行っている。現地での活動の様子や東ティモールのコーヒーのことについても解説されている。
まとめ
東ティモールのコーヒーの味わいについて、解説しました。
✔︎主な栽培品種
- アラビカ種
・ティピカ
・ブルボン - ハイブリッド品種
・ハイブリッド・ティモール
・カティモール
・サルチモール
アラビカ種やハイブリッド品種は全体の約8割。
✔︎生産地の標高
生産地の標高は650m〜1600mで、エリアによりさまざま。
✔︎主な精製方法
- ウォッシュド
✔︎等級
- 東ティモールでは特に等級は定められていない。
✔︎オーガニック大国東ティモール
占領下でコーヒー栽培が放置されたことで広がったピュワオーガニック栽培
今回説明した4つの項目が味わいに大きく関わり、生産地ごとの違いを生み出しています。
東ティモールのコーヒーを選ぶ時の参考にしてくださいね。
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