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【コーヒー焙煎】基本用語を工程ごとに解説

焙煎
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コーヒー焙煎の初心者にもわかりやすく、焙煎で使われる専門用語を工程ごとに解説します。

経験者の方も意外と知らない用語が多い焙煎用語や、工程を確認してみてください。

焙煎の基本工程

焙煎の工程は焙煎機を暖めて、豆を投入してから煎り止めて、冷却するまでに、いくつかの工程に分けられます。

予熱(暖機運転)

実際に焙煎を始める前に焙煎機を起動、加熱して暖めておく事。
あらかじめ焙煎機を暖めておくことで・・・

  • 焙煎度の条件を一定に揃えて再現性が高まる
  • 投入直後から高いカロリーを与えられる
  • 焙煎機に蓄えた熱でその後もスムーズに熱を与えられる

焙煎機材、焙煎方式によっては予熱できない物もあると思いますが、そういった場合は気にしなくてOK。

生豆を投入(Charge)

生豆を焙煎機に投入して、焙煎開始する事。
生豆の投入する時の窯(焙煎機内温度)の決め方は・・・

  • 焙煎する豆の量(基本的には多いほど高くなる)
  • 中点の温度(基本的には高いほど高くなる)
  • 天候、季節、湿度、気圧などに合わせて変える場合も

温度を計測する計器がない場合は予熱にかけた火力と時間で調節するとよいです。

中点(ボトム)

豆を投入してから、豆の冷気などで一時的に窯温度が下がる、その下がりきった時の温度。
中点は何のために確認するのか・・・

  • 再現しようとする焙煎がある場合、その時点での再現度合いの確認
  • 中点以降の火力を調整する参考

焙煎する量にもよりますが、だいたい1分半~2分までの間に中点になります。

プラス1POINT

中点の温度で変わる焙煎タイプ

比較的低温の中点のGW式と、対照的なPS式。この二つの手法でどのように味わいに違いが出るのか。

GW(George Howell)式

中点80℃~100℃になるように調整する
中点を100℃以下で抑えることで生豆の外皮の早急な角質化を防ぎ、序盤の脱水を円滑にする。
更に、脱水後に高い火力を当てることで、積極的にフレーバーを開かせる狙いがある。

中点の温度はGW式の要素の一つにすぎませんが、角質化を防ぎ円滑に脱水する事でその後脱水縮合という反応が促進され、コーヒーらしい良い苦みの元とされるクロロゲン酸ラクトン類が生じやすく、他の焙煎手法と比べて質感が重く酸が弱くなり、甘みを感じる(質感の重さや酸が弱いことで相対的に甘みが感じやすいと思われる)

PS(Paul Songer)式

中点110℃になるように調整する
一定の高温状態を維持することで、豆表面の粒子化を促進し、マウスフィール(質感)の向上を図る。
尚、投入後、1ハゼまでの温度上昇カーブは急勾配(高火力)となりその後は(可能であれば)予熱で焙煎を進行させる。

中点の温度はPS式の要素の一つにすぎませんが、中点が高く生豆表面が凝結しやすいため、繊維が崩落しにくく、初期の火力が高いので酸の形成が早い、そして焙煎後半の火力が低いので香が発達しにくいことから質感は軽く酸が強くなり、甘さは弱い(先のGW式と比較すると対照的)

※上記の記述の内容はすべて豆温度を指しています。(排気温度は20~30℃高温になる)

GW式・PS式の一連の記述は「Roast Design Coffee Blog様(ファナティック三神氏)」より出典。

出典元をご覧いただくとわかるように、上記の手法は本来中点以外にも色々な要素が合わさって行われる焙煎手法になるので、中点を該当温度にしただけで十分な効果が得られるものではありません。

水抜き・蒸らし(Drying Phase)

中点を過ぎて、ゴールド(またはその後、蒸気が落ち着き、生臭さが消える地点)までの焙煎序盤の工程。
何のために水抜きをするのか・・・

一定以下(一説には180℃以下)の温度で水分を飛ばす事でそれ以降の煎り込みので香気成分等を発達させる。
ちなみに、同義で蒸らしと呼ばれる事もあるが、実際に蒸らす訳ではないとされている、が蒸らしを水抜きの中でも序盤の一工程ととらえている場合もある(☟の引用参照)

出典元の場合は手編み焙煎でアルミ箔の蓋(一種のダンパー)をつけて水蒸気を逃がさないことにより→「水分が残った状態で温度が上がると加水分解反応が加速され、その後の香気成分を発達させる効果がある」

出典:コーヒー・ホーム・ロースティング28P

あくまで、水抜き序盤(~5分程度と推測)の話しで、それ以降はダンパーをある程度開けて水分を抜く事が推奨されている。

序盤に行われる蒸らしの工程もひっくるめて水抜きと呼ばれていますが、結果的にしっかり水分を飛ばす事を意識しましょう(ややこしいけど重要。)

ゴールド(Gold Point)

水抜きの工程の途中(ロースターによっては終了時ととらえている場合もある)豆が色づき黄金色に変わる地点。

筆者も水抜きの終わり=ゴールドととらえていましたが、ロースターによっては~5分程度でゴールドに到達し、その後7~8分で生臭さが消えて水抜き終了ととらえられています。(以下の参照☟)

Gold Colorも(水抜き終了と)ほぼ同じような意味合いでとらえられています。メイラード反応が活発になる地点とされ、この変色地点への到達が早すぎると、脱水不良となり、長すぎるとフレーバーの前駆体制分を失うとされています。この地点までをDrying Phaseと言い、Gold Colorから1ハゼまでをMailard Phaseと言います。Gold Colorの判定はこの2つのPhaseの中継地点のような位置づけになっています。

・水抜き= 蒸気が落ち着き、生臭さが消える地点。
・Gold Color= 生豆の緑色が、黄金色に変色する地点。
水抜きの場合、投入後7~8分位に到達するのが一般的で、Gold Colorの場合は4~5分位が一般的です。

出典:Roast Design Coffee Blog様

色も豆によって変わり、香も体調などで感じにくい事があるので、その両方を上手く使ってその後の焙煎に繋げていく物と考えればOK。

メイラードフェーズ(Maillard Phase)

名前の通り、水抜き終了後メイラード反応が活発に行われる工程。
この時豆にはゴム化現象が起きていて、(軍手などで)触るとクニッと柔らかくつぶれる。
香味やそれを元とする甘み成分が発達するタイミングで・・・

ゴム化している時のコーヒー豆は通常より焦げにくく、強い火力を与えられる。

ゆえに、甘みや強い香りが欲しい場合、このポイントで火力が上げられる場合が多い。

逆にここで火力を与えないとフラット(平坦)な味わいになりやすいので、注意が必要。

1ハゼ(1stCrack)

豆内部の気圧が上がり、内部から破裂する事でパチパチと音がする事。
水抜きができていて、一定以上の熱が与えられる事で1ハゼが起こる。(詳しくは下記参照☟)

1ハゼは、豆がガラス化して硬くなり膨張しはじめる頃に起きますが、この時隙間の一部が塞がると、そこに溜まった水蒸気やガスが逃げ場を失って内圧がどんどん上がり、やがて破裂音とともにハゼるのだと考えられます。

出典:コーヒーの科学-焙煎の科学-189P

焙煎プロファイルによりハゼるタイミングは異なりますが多くは・・・

  • 7分~15分の間でハゼる
  • ハゼは1分~2分間続く
  • 豆によりハゼやすいものとそうでない物がある

ハゼがちゃんと起こる事が基本的には良いとされていますが、あくまで焙煎進行の目安の一つなので、味に直接影響がある訳ではないとされています。

2ハゼ(2ndCrack)

1ハゼが終わり、深煎りの焙煎度に差し掛かる頃に「ピチピチ」と2度目のハゼが起こる事。
(詳しくは下記参照☟)

2ハゼの少し手前から、煙の色が少し変わって二酸化炭素などの燃焼ガスの発生が急増しますが、このガスの一部が内部の隙間に閉じ込められて逃げ場を失い、どんどん内圧が上がって限界を超えた瞬間、破裂音を発しながらハゼるのです。

出典:コーヒーの科学-焙煎の科学-189P

海外のロースターの場合2ハゼまで焙煎を進めることなく煎り止めする事が多いようで、ドリップで飲むより、エスプレッソで飲まれる事が多いよう(日本では深煎りも普通に普及している)

デベロップメントフェーズ(Development Phase)

1ハゼが始まってから、煎り止め(焙煎終了)までの工程。
焙煎全体に対するこの工程の割合をDTR(Development Time Ratio)と呼び・・・

コーヒーコンサルタントのScott Rao氏は、1ハゼ後のDevelopment時間(Phase)は焙煎全体時間の20~25%程度が良いと提唱しています。それはScott氏本人が素晴らしいと感じた焙煎サンプルの多くが例外もありながら20%程度だったからだそうです。

出典:Roast Design Coffee Blog様

ということで、割と意識している場合も多いようですが、この割合に関しては懐疑的な部分もあり、出典元の記事を書いている三神氏もこの限りでないとのスタンスです。

三神氏によるとWCRC2019年の優勝者はDTR10%だったという事で、推奨とされる20-25%に過度にこだわる必要はなさそうですね。

上記の工程を経て、予定の焙煎度に到達したら煎り止め。基本的にはクーラーで急冷して、それ以上焙煎が進む事を防ぎます。

その他の焙煎用語

焙煎で使われる専門用語の中でも重要な以下の3つ。

  • RoR

30秒、または1分ごとの上昇温度。6秒に1℃上昇したら、1分の場合 RoRは10℃という事になる。
RoRなんていわれたら難しそうですが、分かれば単純な事です。

  • DTR(Development Time Ratio)

コーヒーコンサルタントのScott Rao氏が提唱した概念です。1ハゼ開始から終了までの時間(Development Phase)とトータルの焙煎時間の比率を示します。Rao氏の度重なる検証の結果、DTRは20~25%のレンジが推奨とのことです。例えばトータル10分間の焙煎でDTRが20%だった場合Development Time(Phase)は2分という事になります。

出典:Roast Design Coffee Blog様

aillioの焙煎温度管理ソフト「RoasTime」やフリーの焙煎温度管理ソフト「アーチザン」などはハゼのタイミングを入力することで自動でDTRが算出されるようになっている事を考えると、焙煎と相関性の高い数字である事がわかります。

  • ニュートラル(Neutral)

ニュートラルとはドラムに入った熱風が滞ることがない程度に廃棄されている状態を示します。このニュートラルは同じガス圧の場合に、必要以上に熱を逃さない一番効率の良い状態となります。

出典:珈琲焙煎の書 86P

確認方法はテストスプーン口に手をかざして暖かいと感じる程度で、熱風が出ていない状態がニュートラルとなります。圧力計の他に、テストスプーン口の風速を計測して、ニュートラルを確認する方法もあるようです。また、空気は熱で膨張するため、温度が高ければ圧力も高まり、ニュートラルの位置も開放へと変化します。

まとめ

焙煎の基本工程
焙煎の工程は焙煎機を暖めて、豆を投入してから煎り止めて、冷却するまでに、いくつかの工程に分けられます。

予熱(暖機運転)
豆を投入して、実際に焙煎を始める前に焙煎機を起動、加熱して暖めておく事。

生豆を投入(Charge)
生豆を焙煎機に投入して、焙煎開始する事。

中点(ボトム)
豆を投入してから、豆の冷気などで一時的に窯温度が下がる、その下がりきった時の温度。

水抜き・蒸らし(Drying Phase)
中点を過ぎて、※ゴールド(またはその後、蒸気が落ち着き、生臭さが消える地点)までの焙煎序盤の工程。

ゴールド(Gold Point)
水抜きの工程の途中(ロースターによっては終了時ととらえている場合もある)豆が色づき黄金色に変わる地点。

メイラードフェーズ(Maillard Phase)
名前の通り、水抜き終了後メイラード反応が活発に行われる工程。

1ハゼ(1stCrack)
豆内部の気圧が上がり、内部から破裂する事でパチパチと音がする事。

2ハゼ(2ndCrack)
1ハゼが終わり、深煎りの焙煎度に差し掛かる頃に「ピチピチ」と2度目のハゼが起こる事。

デベロップメントフェーズ(Development Phase)
1ハゼが始まってから、煎り止め(焙煎終了)までの工程。

上記の工程を経て、予定の焙煎度に到達したら煎り止め。

その他の焙煎用語

  • RoR

30秒、または1分ごとの上昇温度の事。

  • DTR(Development Time Ratio)

1ハゼ開始から煎り止めまでのデベロップメントフェーズが焙煎全体を占める割合の事。

  • ニュートラル(Neutral)

焙煎機に与えられる熱量(ドラムに入ってくる熱風)に対して廃棄される空気の量が均衡しているダンパー(排気弁)のポイント。

以上、コーヒー焙煎の基本用語を工程ごとに解説しました。
コーヒーの焙煎についての情報はあまり公開されておらず、専門用語も知らないとわからない物もあって、初心者には難しく感じやすいと思います。当記事を参考にしてもらい、自信を持って焙煎に取り組んでもらえれば幸いです。

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