「コーヒーの焙煎で投入温度は何度が良いの?」
「中点は何度が良いの?」
コーヒー焙煎の「投入温度」と「中点」について、考察し解説します。
投入温度とは
投入温度とは焙煎開始時に暖機運転(※)が終わって豆を投入する時のドラム内温度の事を言います。
焙煎の方法により、暖機運転をせず投入してから火をつける事や、焙煎機の構造上暖機運転を行えない場合もあります。
アウベルクラフトや珈琲考具の焙煎機は投入口の形状上投入ができません。
(※)暖機運転とは・・・
焙煎をする前に焙煎機に先に熱を与えて、焙煎機を温めておく事をいいます。
業務用は30分以上暖機運転する場合もありますが、ほとんどのサンプルロースターは蓄熱があまり無いので、目標温度に到達したらすぐに焙煎を始めても大丈夫です。
投入温度は何度が良い?
結論から言うと「何度でも良い」となります。(記事後半で焙煎プロファイルの例を紹介します)
そもそも投入温度は何を基準に考えるのでしょうか。その答えの1つは中点から逆算する事です。
中点とは
暖機運転が終わり、生豆を投入したら常温の生豆とドラム内の温度差があるため、ドラム内温度(または豆温度)が下がります。
この時に下がり切った焙煎中一番低い温度のことを中点といいます。
そして、この中点を何度にするかで投入温度が決まります。
中点は何度が良い?
結論から言うと、こちらも「何度でも良い」となります。(記事後半で焙煎プロファイルの例を紹介します。汗)
中点が何度でも良いのは目指す味わいや、焙煎機、焙煎方法により変わるものだからです。
投入温度、中点の違いによる変化
低い中点でゆっくり焙煎するのは焙煎の全体の進行が遅れるだけで、狙いとしては考えづらい・・・。
そこで焙煎開始から5分までの到達温度を仮に180℃と固定した場合
- A高い投入温度、そして高い中点
- B低い投入温度、そして低い中点
この部分を変えるとどのように変わるのか
実際に焙煎してみた
- 今回使用する焙煎機は直火式
- 計測温度はドラム内温度
- 使用する豆はコロンビアスプレモ
実際に焙煎してみると、AよりBの方が20秒ほど1ハゼのタイミングが早かったです。
煎り止めはAが16:00Bが15:40でここでも20秒ほど差がありました。
サンプルロースターで微圧計はついていないので、それぞれの進行は微妙に異なります。参考程度にお考えください。
実際に飲んで比較してみた
比較しやすいようカッピングしてみました。
A投入温度、中点の高いものは・・・
Bと比べると、香りが少なく軽い味わい。
B投入温度、中点の低いものは・・・
Aと比べると豆の持つ香ばしさや良い酸味が感じられる味わい。
今回の比較について「ホーム・コーヒー・ロースティング」で参考になる記述がこちら
水分が残った状態(投入直後と推定)で、温度が上がると、ある種の化学反応が加速されます。加水分解と呼ばれる反応で、(これによりタンパク質や糖類が分解)水抜き後のメイラード反応という別の化学反応を起こしやすくなります。
「ホーム・コーヒー・ロースティング」28頁より引用
この「メイラード反応」により香ばしい香りやチョコのようなコクが生み出される。という事なので、今回の検証も科学的な信憑性の高い結果が得られたのでは、と思います。
まとめ
投入温度とは・・・
焙煎機の暖機運転をしてから生豆を投入する時点の温度。
中点とは・・・
生豆を投入してから温度が下がりきった、焙煎中で一番低い温度。
投入温度、中点ともに決められた温度がある訳では無いが・・・
投入温度に比例して、中点が変化して、を何度になるかでその後の焙煎の進行が変わります。
仮説として、焙煎開始5分で到達温度180℃が適切な到達温度だとすると
- Aパターン
投入温度、中点ともに高い
その後のアプローチは火力が抑え気味なる
Bと比べると、香りが少なく軽い味わい。 - Bパターン
投入温度、中点ともに低い
その後のアプローチはAより火力の最大値が上がる
Aと比べると、豆のもつ香ばしさや良い酸味が感じられる味わい。
焙煎序盤はやれる事の幅が広く、それゆえに超重要
生豆は投入してから段々と水分がなくなり、それとともに焦げやすくデリケートな状態となります。
逆に、熱(カロリー)を与えられる余地の大きい投入前半はアプローチできる幅が広く、味わいにも大きく影響する事がわかりました。
投入温度や中点のコントロールだけでなく、与える火力から逆算したプロファイルを考えると焙煎の幅が一気に広がりますよ!
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