コーヒー焙煎の水抜きについて
- コーヒー焙煎の水抜きとは
- 「蒸らし」とは違うのか
- 水抜きの指標「ゴールド」について
解説していきます。
水抜きとは
✔︎コーヒーを焙煎する際に前半である程度水分を飛ばして、中まで火を通すこと
何か特別なアプローチが必要なのか?
そんなことはありません。
ダンパーを長時間閉め切ったりしない限りはある程度自然に行われる工程の1要素と認識されています。
蒸らしとの違い
✔︎水抜きと蒸らしは同義語として扱われることがあるが?
バッハ珈琲の田口さんのスペシャルティ珈琲大全より、「蒸らしとは、水を抜く工程を表す言葉であって、実際にダンパーを締め切って蒸らす訳ではない」という旨の記述があります。よって蒸らす訳ではなく「水を抜く」事を指す用語であるよう。それを誤認した一部の方が勘違いして、ダンパーを閉めて実際に蒸らしている事がある。とさせて頂きます。
23年6月追記:焙煎前半にダンパーを閉め気味にして、加水分解を促進し、その後のメイラード反応の促進を図るアプローチもあります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください☟
「水抜き」と「蒸らし」は微妙なニュアンスの違いではなく、同じ意味合いで使われている事が多いように思います。
焙煎のどの部分を水抜きという?
✔︎焙煎開始からゴールドになり、1ハゼの少し前、豆が乾燥してくるまで
生豆を投入してからゴールドまでの焙煎前半の部分が水抜きと認識しているロースターが多く、海外のロースターは「Drying Phase」などとも呼ばれています。
ですが、近年の傾向としては、実際に水抜きが終わるのはゴールドを少し過ぎたポイントだとする見方が強くなっています。下記引用を参照☟
・水抜き=蒸気が落ち着き、生臭さが消える地点
出典:「Coffee Fanatic 三神のスペシャルティーコーヒー攻略本」p100
・Gold Color=生豆の緑色が、黄金色に変色する地点
水抜きの場合、投入後7分~8分位に到達するのが一般的で、Gold Colorの場合は4~5分位が一般的です。
ゴールドとは
✔︎水抜きの完了の目安の1つとなっている豆が金色に色づくポイント
水抜きの通過点として、1つの指標とされているゴールドという豆が金色に色づくポイントがありますが、焙煎により豆が色付いたから、というだけではありません。焙煎前半の「ゴム化」現象により豆の繊維がほぐれ軟化した事による変化が大きいと考えられます。
つまり、ゴールド=ゴム化だとの見方もあります。
ゴールドがゴム化だと仮定すると、吸熱が促進されているタイミングとなります。RoRの低下に注意して火力を調節するポイントとなります。
水抜きのコツ
✔︎水抜きに特別なアプローチはいらない
投入温度や焙煎前半の火力が高すぎると「生焼け」すなわち水抜きが失敗するリスクが高くなります。
なので生焼けを感じたら投入温度を下げる、前半の火力を下げるなどのアプローチが有効です。
生焼けになるかどうかは、あくまで傾向であり、それを感じない程度に温度を調整するというシンプルな操作となります。
水抜きも含め、焙煎による味わいの変化は相対的で、かつ一方の変化と相反する結果となる。というのが結論です。
水抜きはいつ終わる?
✔︎ゴム化が終わって再硬化し始めるタイミング
ゴム化して、繊維がほぐれて艶のあるゴールドの状態からさらに加熱を進めると・・・
ゴム化が終わり再硬化して豆が膨らみ始めます。
この状態が水抜きの終了の目安となり、場合によっては火力や排気の調整をするタイミングとなります。
“Coffee Fanatic 三神のスペシャルティーコーヒー攻略本”では「水抜き(終了)=蒸気が落ち着き、生臭さが消える地点」とされており、臭いにを意識する事でも水抜きの終了を確認できそうです。
水抜き以降は?
✔︎焙煎進行により、味わいに相対的に変化する
香りや酸味を出すなら・・・高火力、高撹拌の焙煎進行
甘味と質感を出すなら・・・低火力、低撹拌の焙煎進行
上記傾向は、それぞれ相反する。
上記の傾向に併せて、基本的には焙煎が進むほど甘みと質感が増していきます。
まとめ
以上、コーヒー焙煎「水抜き」についての考察をしました。
コーヒーの焙煎は「水抜き」の工程1つとっても、目まぐるしい速さで変化しています。今までの常識にとらわれず、色々と考察して試し、焙煎士達もアップデートしていけるように頑張りたいものですね。
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