「コーヒーの焙煎を始めたけど、『水抜き』って何?」
「『蒸らし』とどう違うの?」
水抜きについて、筆者の考察も合わせて、解説します。
水抜きとは

コーヒーを焙煎する際に前半である程度水分を飛ばして、豆の中まで火を通す行程のこと。
蒸らしとの違い
バッハ珈琲の田口さんのスペシャルティ珈琲大全より、「蒸らしとは、水を抜く工程を表す言葉であって、実際にダンパーを締め切って蒸らす訳ではない」という旨の記述があります。よって蒸らす訳ではなく「水を抜く」事を指す用語であるよう。それを誤認した一部の方が勘違いして、ダンパーを閉めて実際に蒸らしている事がある。とさせて頂きます。

「水抜き」と「蒸らし」は微妙なニュアンスの違いではなく、同じ意味合いで使われている事が多いように思います。
焙煎のどの部分を水抜きという?
生豆を投入して中点(※)以降からゴールド(※2)までの焙煎前半の部分が水抜きとしています。
(※)生豆投入から生豆温度、またはドラム内温度が下がり切った時の温度。
(※2)焙煎中盤の1ハゼ前で、豆が黄色っぽく色づくタイミングの事。
水抜きのコツ

重要度が高いのが温度です。
特に温度の上がり過ぎに注意が必要で、200℃以上になると中に火が通る前に表面だけが焼けてしまう原因になるので、ゴールドまでは200℃以下(厳密には180℃以下)が良いと思います。(私の焙煎機の場合ドラム内温度175℃)
水抜きという行程はメイラード反応による良い甘味や香りを引き出す事、そして、ここでしっかり水分を飛ばすことで、以降の科学変化でクロロゲン酸類に良い変化(良い苦味)をさせる事をを目的としています。
- メイラード反応は155℃以上200℃以下で活発になる
- クロロゲン酸類は水分のない状態で熱を加えていく事が重要
水抜きはいつ終わる?
水抜きが上手くできている基準の一つが、ゴールドとと呼ばれる豆が黄色っぽく色づく状態になることです。

この状態になっていれば水抜きがキチンとできています。
逆に綺麗な黄色ではなく茶色っぽくなると表面が焦げて上手く水抜きできていないことが多いです。(豆の種類や精製方にもよる)
水抜き以降は?

これ以降は目指す味にもよります
豆の個性を出したいのなら・・・以降火力を上げて焙煎を進行します。
マイルドで優しい味にしたいのなら・・・比較的ゆっくりと火力調整をしてじっくりと焙煎を進行します。

時間のかけ過ぎは良くありません。遅くとも焙煎開始から20分程度で焙煎を終えられるようにしましょう。
まとめ
「水抜き」とは一定の範囲の温度(155℃〜180℃)で水分がある程度飛ぶまで加熱する事で、それにより
- 生焼けになる事を防ぐ
- メイラード反応によって甘味や香りを引き出す
- 水分を飛ばす事でその後のクロロゲン酸類に良い変化(良い苦味)をもたらす
ですが、結局は・・・
焙煎機や豆により変わってきますので、使っている焙煎機や焼いている生豆に合うやり方を探しましょう。
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