コーヒー焙煎の「ハゼ」について、以下の3点を解説します。
- コーヒー焙煎におけるハゼとは
- ハゼない原因
- ハゼる焙煎のコツ
コーヒーの焙煎におけるハゼとは

✔︎焙煎により熱せられた結果、パチパチやピチピチと音が鳴りハゼ(爆ぜ)る現象
コーヒー生豆は焙煎により熱せられると、豆内部の温度・気圧の上昇により2度ハゼ(爆ぜ)ます。1度目を「1ハゼ」、その後に起こる2度目を「2ハゼ」と呼びます。
ハゼしていないコーヒーの味わいについては、ハゼの有無が味わいに直接影響するわけではありませんが、以下のようなネガティブな要素が出ていることが多くなります。
- 熱量不足による成分未発達の青臭さ
- 過度な低温長時間焙煎によるタンパク質吸着による焦げ
1ハゼ(1st Crack)
水抜きが終わり浅煎りに入る頃に「パチパチ」と1度目のハゼが起こります。これが1ハゼです。科学的に説明すると・・・
1ハゼは、豆がガラス化して硬くなり膨張しはじめる頃に起きますが、この時隙間の一部が塞がると、そこに溜まった水蒸気やガスが逃げ場を失って内圧がどんどん上がり、やがてそれが破裂音とともにハゼるのだと考えられます。
コーヒーの科学 -焙煎の科学- 189ページより引用
化学変化により豆が膨張し、豆内部の隙間が塞がれることで水蒸気とガスが逃げ場を失い、破裂するときに鳴る音が1ハゼということになります。
2ハゼ(2nd Crack)
1ハゼが終わり、深煎りの焙煎度に差し掛かる頃に「ピチピチ」と2度目のハゼが起こります。これが2ハゼです。科学的に説明すると・・・
2ハゼの少し手前から、煙の色が少し変わって二酸化炭素などの燃焼ガスの発生が急増しますが、このガスの一部が内部の隙間に閉じ込められて逃げ場を失い、どんどん内圧が上がって限界を超えた瞬間、破裂音を発しながらハゼるのです。
コーヒーの科学 -焙煎の科学- 189ページより引用
2ハゼの前に発生したガスが内部の隙間に溜まっていくことで逃げ場を失いハゼます。1ハゼより音が小さく細かいのは、焙煎が進み豆が乾いて脆くなっていることなどが影響していると考えられます。
ハゼが起きないと美味しくない?
✔︎ハゼない事が焙煎失敗というわけではない
そもそも、多くの焙煎者がなぜハゼを起こさせようとするのか。それは焙煎進行の一つのわかりやすい目安だからです。ハゼることで美味しい成分が生まれるわけではありませんが、熱量(火力)不足の兆候ではあるため注意は必要です。
そもそもハゼは焙煎進行の結果起きるただの反応であり、それ自体が味に影響しているわけではありません。ハゼる前に焙煎を終了させるロースターも存在します。数字や現象に囚われすぎず、あくまでも目安の一つとして捉えることが大切です。
焙煎で豆がハゼない原因
熱量(火力)が足りていない

✔︎熱量が足りないとハゼない
焙煎でハゼが起きるためには、豆内部の気圧が高まる必要があります。温度が低いと気圧が上がらず、結果的にハゼにくくなります。特に水抜きが終わってから1ハゼまでの間の熱量が不足していると顕著に現れます。
時間がかかりすぎている

✔︎長時間の低温焙煎ではハゼにくい
豆がハゼるには一定以上のエネルギー(火力)が必要なため、低エネルギーでゆっくりと焙煎する場合はハゼにくくなります。間接的に「熱量が足りていない」と同じ理由ですが、低温長時間焙煎が結果的に熱量不足につながっているとイメージするとわかりやすいです。
豆によってはハゼにくいものもある

✔︎標高の低い産地やナチュラル精製の柔らかい豆はハゼにくい
傾向として、柔らかい豆はハゼにくく、逆に硬い豆はハゼやすいとされています。
| 柔らかい豆(ハゼにくい) | 標高が低い産地・ナチュラルやハニー精製 |
| 硬い豆(ハゼやすい) | 標高が高い産地・ウォッシュド精製 |
柔らかい豆ほどハゼた時点での焙煎の進行度合いが深く、硬い豆はその反対の傾向が見られます。
ハゼる焙煎のコツ
焙煎温度を十分に上げる

✔︎一定以上の温度まで上がらないとハゼない
コーヒーが焙煎によりハゼを起こすのに必要な温度は、aillioの場合ドラム内温度200℃前後に到達することが一つの目安になります。※筆者の経験則とコーヒー焙煎本「人気店のコーヒー焙煎」を参考に推測。
なお豆温度だと190℃程度が目安となります。吸熱が上手くいっていないとドラム内温度に対して豆温度が低くなる傾向となります。
ハゼやすい豆で焙煎する

✔︎キューバやドミニカなどのカリブ海地域の銘柄はハゼやすい
ハゼる音が大きく焙煎しやすい銘柄として、キューバやドミニカがおすすめです。また、ハンドピック(※)を行い欠点豆(※2)を取り除き、粒の大きさを揃えることでもハゼが揃いやすくなります。
(※)「ハンドピック」とは
豆を煎る前・後またはその両方で、異物や不良豆をチェックして除去すること。
(※2)「欠点豆」とは
検品で気づかれずに混ざった状態の悪い豆や、豆に混ざって混入するコーヒーの実などの異物のこと。
初心者がハゼを理解するためにはおすすめですが、根本的にはハゼやすいかどうかはそれほど重要ではないので、あまり気にしすぎなくてもよいかもしれません。
まとめ
以上、コーヒー焙煎におけるハゼない原因と、ハゼる焙煎のコツを解説しました。
✔︎コーヒーの焙煎におけるハゼとは
焙煎により熱せられた結果、パチパチやピチピチと音が鳴りハゼ(爆ぜ)る現象。
- 1ハゼ:水抜きが終わり浅煎りに入る頃に「パチパチ」と1度目のハゼが起こる
- 2ハゼ:1ハゼが終わり、深煎りの焙煎度に差し掛かる頃に「ピチピチ」と2度目のハゼが起こる
✔︎焙煎で豆がハゼない原因
- 熱量(火力)が足りていない
- 時間がかかりすぎている
- 豆によってはハゼにくいものもある(柔らかい豆・低標高・ナチュラル精製など)
✔︎ハゼる焙煎のコツ
- 焙煎温度を十分に上げる(ドラム内温度200℃前後が目安)
- キューバやドミニカなどのカリブ海地域の銘柄はハゼやすい
✔︎ハゼない事が焙煎失敗というわけではない
コーヒーの焙煎では「〇分以上蒸らす」「〇℃以上の中点にする」など様々な憶測と仮説が飛び交っていますが、あくまでも目安の一つとして捉え、自分の環境に応用することが大切です。ハゼについても数字や現象に囚われすぎないことが重要です。
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