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【コーヒー焙煎】豆の含水量による焙煎進行の変化を考察

焙煎
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同じ条件で豆の水分量だけ変えた場合、焙煎の進行にどの程度影響するのか、専門書で少し触れられている物もあるようですが実際のところは・・・
ということで

  • 豆の水分量別焙煎比較
  • 豆の水分量で焙煎進行が変化する理由
  • 豆の水分量毎の焙煎のコツ

解説していきます。

豆の含水量別焙煎比較

乾燥させた生豆と通常の生豆でどのような差が出るのか、焙煎、検証します。

風をあてて乾燥させる程度で水分が減るのか定かじゃなかったので、今回の検証は少しゆるめです。笑

筆者の所有する焙煎機「aillio Bullet」でドラムの回転速度、火力、煎り止めのタイミングを1ハゼ開始から1分に固定し比較していきます。

生豆の含水量別比較①(水分少ない)

aillioの焙煎データログソフト「roast time」のバグで「ゴールド」と「1ハゼ」の表示時間が変わってしまったので画像の一部加工しています。
  • 中点:85.7℃
  • 1ハゼ:9:02
  • 2ハゼ:ー
  • 煎り止め:10:02
  • 減少率:13.0%(250.0→217.5)
  • 味わい:②と比較すると収賄性のある酸味の割合が少し強い。

手持ちの中で含水量の多そうだったインドネシアの豆を水分の抜け具合といった観点で比較するために浅めで、タイミングを固定しての検証としました。

生豆の含水量別焙煎比較②(通常)

  • 中点:85.7℃
  • 1ハゼ:8:45
  • 2ハゼ:-
  • 煎り止め:9:45
  • 減少率:13.2%(250.0→217.0)
  • 味わい:①より収賄性のある酸味が少なく、少し香も強く感じた。

特筆すべきは、煎り止め温度が①より②の方が煎り止めが17秒早いにもかかわらず、焙煎後の重量減少率は①より②の方が多いという事。

上記の比較により、少なくとも含水量の多かった②の方が効率よく火が入り、また水分が抜けている事が考察できます。

豆の含水量で焙煎進行が変化する理由

豆に含まれる「水分の伝熱効率」と蒸発を促す「ゴム化」が鍵になります。

もはや焙煎士必携の一冊。
  • 水の伝導率は空気の約20倍

豆の含水量が多い豆ほど、この水分を媒介にして熱が伝わるので火が入りやすい事が推察されます。

が、問題が一つ

生豆に含まれる水分は「結合水」といって、タンパク質等と結合して簡単に蒸発する事ができないのです。

この水分が蒸発せずに残ってしまうと、味わいに悪影響をきたす恐れがありますが、それを解決してくれているのが…☟

  • ガラス転移による「ゴム化」

生豆に含まれるセルロースなどの非晶質の物質を加熱していくと、ある温度を境にガラス転移という現象により生豆が「ゴム化」することで柔らかくなります。

「ゴム化」して繊維が緩む事で豆内部の水分の蒸発が活発になり水分の蒸発が促されます。

※豆の含水量で焙煎進行が変化する理由に関しては「コーヒーの科学」より出典、参考にしております。

そして、この「ゴム化」もといガラス転移にはある性質があります。☟

含水量が多いと水分が抜けやすい

含水量が多いほど「ゴム化」が長い。
ガラス転移が始まる温度、ガラス転移点は含水量が多いほど低くなるという特性があります。これはつまり、早い段階ででゴム化する事を意味するので、より多くの水分を効率よく抜けるということ。

焙煎の流れで確認するとい以下のようなグラフとなっています☟

出典:応用物理 第 87 巻 第 10 号(2018)コーヒーのおいしさの仕組み(旦部)/ホッとひといき

※グラフでいうところの10分でガラス状態になり再硬化しています。

生豆の含水量ごとの焙煎のコツ

水分が多いほど序盤は火力強め。(でも良い)
となります。

水分が多い豆はゴム化の期間が長く、序盤に火力を強めても火を入れられて水分を抜きやすいという事になります。逆に水分が少ない豆はゴム化の期間が短く、火力が強いと十分に火が入る前に再硬化してしまう危険性が高いので、慎重に焙煎を進めていく必要があると言えそうです。

ザックリ言うと

水分が多いと・・・
序盤に火力を高めても火が入りやすく、水分も抜きやすい
水分が少ないと・・・
序盤に火力が高いと火が入り難く、水分も抜けにくい

上記の傾向を考えて好みのバランスに調整しましょう。

※ゴム化が終わり再硬化(ガラス化)した後のアプローチで最終的な味が決まると思うので、ここだけ意識すれば上手くいくというものではありませんので、ご了承ください。

今回のゴム化についての傾向は物理的な状態(豆の大きさなど)が同じだと仮定した時の話しであり、産地や品種など、豆自体の大きさ等が変化すると結果も変わってくるので、単純に含水量だけで序盤のアプローチを決められるというものではないのでそこは注意が必要。

まとめ

生豆の含水量が焙煎に与える影響とは

検証

「aillio Bullet」で投入温度、火力、ドラムの回転速度、煎り止めを1ハゼ開始1分で固定して比較

含水量少ない【10:02】と普通の煎り止め時間【9分45秒】で比較すると、時間にして17秒、焙煎後の重量減少率では0.2%の差が出ました。

含水量で焙煎進行が変化する理由

豆に含まれる「水の伝熱効率」と蒸発を促す「ゴム化」が鍵に。

  • 水の伝熱効率は空気の約20倍
    水分が多い事で豆全体に効率よく熱が加わる。
  • ガラス転移によるゴム化
    生豆に含まれるセルロース等は過熱によりガラス転移して「ゴム化」して水分の蒸発を促す。
含水量が多いと水分が抜けやすい

ガラス転移して「ゴム化」する際の温度である「ガラス転移点」は含水量が多いほど低くなるので、結果的にゴム化している期間が長くなり、水分が抜けやすい。

含水量ごとの焙煎のコツ

水分が多いほど序盤は火力強め。(でも良い)

以上、「豆の水分量による焙煎進行の変化」を検証、解説しました。
検証のサンプルが少なく、まだ確信が持てるわけではありませんが、水分が多い豆=生焼けになりやすい、という定説に新しい視点での考察が進められたかと思います。

今回の記事の参考文献はこちら
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