コーヒー焙煎における失敗について、以下の2点を解説します。
- コーヒー焙煎の失敗パターンとその特徴
- それぞれの原因となる操作
焙煎を繰り返す中で「なんか味がおかしい」と感じたとき、原因を特定する手がかりになれば幸いです。
焙煎の失敗パターン一覧

✔︎コーヒー焙煎の失敗は6種類と4つの操作に分類される
コーヒー焙煎6つの失敗
- 生焼け(Raw Burn)
- 焦げ(Scorch)
- 成分未発達(Raw Bake)
- 燻臭
- 煎りムラ
- 水抜き
原因となる4つの操作
- 過剰な高火力
- 過剰な低火力
- 排気操作
- ドラムの回転速度
失敗の英語訳は「Roast Design Coffee Blog(ファナティック三神氏)」より出典。深煎りが浸透する日本のコーヒー文化にはSCAの表現よりしっくりくると思います。
各失敗パターンの詳細
① 生焼け(Raw Burn)

画像はイメージです。生焼けは見た目ではわかりにくいです。
✔ 過剰な高火力で表面だけ焙煎が進行し、内部が未発達のままネガティブな風味が出る状態
主な要因:過剰な高火力
風味の特徴:収賄性のある嫌な酸味。麦やオーツ麦のような穀物臭。
焙煎が浅いほど起こりやすい失敗です。強すぎる火力で豆の表面温度だけが先行して上がり、内部に十分な熱が届かないことが原因です。
なお、本記事ではBake傾向の生焼けとして「Raw Bake」を挙げていますが、今回は別の失敗例として紹介しています(「③成分未発達(Raw Bake)」参照)。
▶ 詳しい解説はこちら:【コーヒー焙煎】生焼けにならない焙煎のコツを解説
② 焦げ(Scorch)

画像はイメージです。深煎りでなくても焦げることがあります。
✔ 熱せられ方の偏りや過剰な熱量により、焦げた味わいが出る状態
主な要因:過剰な低火力
風味の特徴:金属味のある苦み。焦げ臭。
投入温度が低すぎることを除くと、焙煎の後半で起こりやすい失敗です。一見「高火力が焦げの原因」に思われがちですが、ファナティック三神氏の定義では低火力・Bake傾向の方が焦げを生じやすいとされています。低火力ではドラム面の温度分布にムラが生じやすく、豆が接触したまま長時間高温にさらされることで焦げにつながります。深煎りでDevelopment Phaseに時間がかかるほどこの傾向が顕著になります。
スコーチング・ティッピングについて
| スコーチング(Scorching) | カロリー供給過多により豆表面の組織の炭化が始まった状態。Bitter・Iron・Metallic・Carbonなどのフレーバーが感じられる。排煙不足やドラム面への長時間接触が主な要因 |
| ティッピング(Tipping) | 豆の先端(チップ部分)が過剰な熱によって焦げる現象。序盤の過剰な火力が原因になりやすい |
▶ 詳しい解説はこちら:【コーヒー焙煎】焦げの原因と焦がさない焙煎のコツを解説
③ 成分未発達(Raw Bake)

画像はイメージです。見た目ではわかりにくいです。
✔ RoR(温度上昇率)が低すぎる状態が続き、成分未発達によるネガティブな風味が出る状態
※「RoR」とは
30秒、または1分ごとの上昇温度。6秒に1℃上昇したらRoRは10℃ということになる。
主な要因:過剰な低火力(主に焙煎後半)
風味の特徴:個性のない平坦な味わい。塩味や野菜のような生臭い香り。
「ベイクド(Baked)」や「RoRクラッシュ」などとも呼ばれます。焙煎後半にかけてRoRが急激に低下・失速することで、コーヒーの香気成分の前駆体が十分に変異しないまま焙煎が終わってしまう状態です。焙煎の後半や1ハゼ時に起こりやすい失敗です。
▶ 詳しい解説はこちら:【コーヒー焙煎】生焼けにならない焙煎のコツを解説(「火力が弱すぎる」Bake傾向の生焼けの項)
④ 燻臭(煙臭)

✔ 煙の臭いが豆に移り、不快に感じる状態
主な要因:排気操作
風味の特徴:焦げ臭・燻し臭の付着。
排気が不十分だと、焙煎中に発生する煙が焙煎機内に滞留し、豆に燻臭が移ってしまいます。単純に焙煎が進みすぎた焦げ臭は「Burnt(バーント)」と呼ばれ、厳密には燻臭とは異なります。
▶ 詳しい解説はこちら:【コーヒー焙煎】焦げの原因と焦がさない焙煎のコツを解説(煙臭・焦げ臭の付着の項)
⑤ 煎りムラ

✔ 攪拌不足や過剰な高火力で、豆ごとの焙煎度にバラツキが出る状態
主な要因:過剰な高火力・ドラムの回転速度
風味の特徴:極端な煎りムラは「生焼け」や「焦げ」を感じさせる。
煎りムラは他の失敗と異なり、必ずしもネガティブとは言い切れません。程度によっては味に複雑性や奥行きが生まれることもあります。
▶ 詳しい解説はこちら:【コーヒー焙煎】ムラの原因とムラにならない焙煎のコツを解説
⑥ 水抜き

✔ 焙煎序盤の進行が速すぎることで、水分が適切に抜けず生焼けや煎りムラにつながる状態
水分は焙煎の進行とともに自然に抜けていくため、基本的には特別な操作を必要としません。ただし、焙煎序盤の進行が速すぎると生焼けや煎りムラにつながります。水抜きとされる工程は「Drying Phase」などとも呼ばれています。
▶ 詳しい考察はこちら:コーヒー焙煎「水抜き」についての考察
参考:WCRCによる焙煎欠点の定義
世界焙煎選手権(WCRC)では、焙煎に起因する欠点を以下の4種類に定義しています。
| Underdevelopment | 焙煎による酸・甘さ・フレーバーの不十分な発達。最初に攻撃的な酸とフレーバーが感じられ、後味は皆無 |
| Overdevelopment | 過度の焙煎によるフレーバーの破壊。全ての酸とフレーバーが消失し、焦げやロースト臭が感じられる |
| Baking | カラメル化プロセスの失速に関連。ポップコーンや硬いシリアル・オーツのようなフレーバーを伴う |
| Scorching | 焙煎中の過度な熱量を加えた場合に関連。灰や焼け焦げた味が感じられる |
出典:Roast Design Coffee Blog(ファナティック三神氏)
まとめ
以上、コーヒー焙煎の失敗6つのパターンを解説しました。
✔︎焙煎の失敗6つのパターン
- 生焼け(Raw Burn):過剰な高火力で表面だけ焙煎が進行してネガティブを感じる状態
- 焦げ(Scorch):熱せられ方により焦げた味わいを感じる状態
- 成分未発達(Raw Bake):RoRが低すぎることが続き、成分未発達によるネガティブを感じる状態
- 燻臭:煙の臭いが豆に移り、場合によっては不快に感じる状態
- 煎りムラ:攪拌不足や過剰な高火力で、豆ごとの焙煎度にバラツキがある状態
- 水抜き:自然に行われる焙煎工程のひとつで特別な操作は必要ない
焙煎したらカッピングを行い、6つの失敗に起因する味が出ていないか確認する。これを繰り返すだけでも着実に焙煎スキルを磨くことができます。色々試して、どんどん焙煎してみてください。
今回の記事の参考文献等はこちら

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