コーヒー焙煎の「焦げ」について
- コーヒー焙煎における焦げとは
- 焦げる原因
- 焦げない焙煎のコツ
解説していきます。
コーヒーの焙煎における焦げとは
✔︎熱せられ方により焦げた味わいを感じる状態
焦げたコーヒーはどんな味なのか
- 舌に残る不快な苦みを感じる
- 金属味がある
- 香りに焦げ臭さが混じる
いずれの要素も、不快に感じるほど強く出てしまう事が問題なので、捉え方が難しいところ。
焦げる原因とは
低温だと焦げやすい
✔︎実は低温が原因でコーヒーが焦げる
コーヒーが焦げる本質的な理由は、低温(~200℃以下)までの温度帯の進行が遅く、ドラムの鉄板との接触が増えることによって熱量が豆表面に集中してしまう事による炭化です。
実は低火力、Bake傾向の方が焦げます。
出典:「Coffee Fanatic 三神のスペシャルティーコーヒー攻略本」p107
~省略、十分に加熱していないと鉄板の吸着水(化学的に金属に結合している水分子)が揮発せず、タンパク質と金属の吸着性が高くなるので焦げやすくなります
焙煎が深すぎる
✔︎焙煎が深すぎることで焦げていると感じられる事もある
焙煎が深くなるとフェノール類が発生して薬品臭や煙臭などの原因となり、焦げていると感じられる。
コーヒーでも焙煎が進むとフェノール類が生成し、その香りは樹木、スパイス、薬品臭、煙臭などに喩えられます。
出典:「コーヒーの科学」147p
煙臭、焦げ臭の付着
✔︎排気不足で焦げ臭(煙臭)が付着する
焙煎終盤の煙発生時に排気が弱いと煙臭、焦げ臭の付着して、焦げを感じる。
焙煎終盤で排気が弱すぎると、煙が抜けきらずにフェノール類による煙臭や焦げ臭など、燻されたような臭いが豆に強く残ります、
出典:「コーヒーの科学」207p
ちなみに、水抜き不足は嫌な苦みの原因に・・・☟
直接的な焦げとは違うのですが、水抜き不足で煎り込んでしまうと、コーヒーに含まれるクロロゲン酸が加水分解します。そして、その時に生じるカフェー酸が悪い焦げの味の原因になります。
水抜きに失敗した中深煎りのコーヒーは渋みがきつく出ますが、もうちょっと煎り進めて深煎りにすればややきつい苦味はあるものの、渋みよりマシという味になります。
「コーヒーおいしさの方程式」92ページより引用
そして、この「ややきつい苦み」がビニルカテコールオリゴマー↓
苦味には大きく分けて2種類あることが分かった。それらは、
「コーヒーおいしさの方程式」93ページより引用
①中煎りタイプの苦味(クロロゲン酸ラクトン類)
②深煎りタイプの苦味(ビニルカテコールオリゴマー)
この「ビニルカテコールオリゴマー」をさらに加熱すると、悪い焦げの味になる↓
②が多数結合すると「ビニルカテコールポリマー」(苦渋味)となり、ここでは「わるいおこげの味」と位置付けている。
「コーヒーおいしさの方程式」93ページより引用
一言でいうと、生焼けの豆を煎り進めると、結果的に焦げた味になる。という事です。
「水抜き」についてはこちら↓
焦がさない焙煎のコツ
投入温度を適正な範囲に収める
✔︎投入温度が一定以上だと焦げにくい
投入温度が低いと、焙煎全体のRORが低下しやすく焦げに繋がるので、中点が豆温度80℃を大きく下回らない程度に調整するのが良いです。
焙煎機によって中点の温度の傾向は変わるので、あくまで参考程度に。
深く煎り過ぎない
✔︎深く焙煎しなければ焦げ臭は付着しずらい
焦げ臭の元となるフェノール類は浅煎りであればあまり生成されない。
そもそも深煎りにしたときの焦げ臭(煙臭)は厳密には焦げているわけではないので、好みの問題。
1ハゼ以降は排気を(適正な範囲で)強める
✔︎適切な排気(ニュートラル)であれば焦げ臭は付着しずらい
1ハゼ以降の排気不足での煙臭の付着が焦げ(を思わせる)原因なので、後半の排気は特に気を付ける。
ニュートラルの見極めるコツは「排気部以外から煙や蒸気が出ない」程度。
排気が強すぎても焦げる可能性は上がるので、注意が必要。
まとめ
以上、コーヒー焙煎における焦げの原因と、焦げないコツを解説しました。
コーヒー焙煎の失敗のうち、焦げについての情報は、昔に比べて一番更新されている題材だと思います。意外に思う解決策にも先人達の裏付けあってのもの。お試しあれ
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