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【コーヒー焙煎】排気量別焙煎比較と伝熱への影響を考察

焙煎
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同じ条件で排気の強さだけ変えた場合、焙煎の進行にどの程度影響するのか、専門書で少し触れられている物もあるようですが実際のところは・・・
ということで

  • 排気量別焙煎比較
  • 排気量で焙煎進行が変化する理由
  • どの程度の排気量がよいのか

解説していきます。

排気量別焙煎比較

aillioの排気パワー9段階の内「F1(弱)・F3(中)・F5(強)」でどのような差が出るのか、焙煎、検証します。

写真ではわかりにくいですが、排気量が増えるにつれ少しずつ深くなっています。

筆者の所有する焙煎機「aillio Bullet」でドラムの回転速度、火力、煎り止め温度を200℃で固定して比較していきます。

排気量F1(弱い)

  • 中点:84.0℃
  • 1ハゼ:8:52
  • 2ハゼ:ー
  • 煎り止め:11:01
  • 減少率:17.7%(254.5→209.5)
  • 味わい:他の2つと比較すると相対的に明るめの香と酸を感じる。

投入量が250gなんでF1の排気最弱でも、排気不足はほぼ感じず、煙臭も感じませんでした。

排気量F3(普通)

  • 中点:84.5℃
  • 1ハゼ:10:09
  • 2ハゼ:-
  • 煎り止め:13:11
  • 減少率:18.6%(253.0→206.0)
  • 味わい:甘みが少しと焦げの苦みが少し、香り、酸味は少ないが質感は軽め。

熱気が排出された分温度上昇が緩やか、ベイク気味で甘みが強くなったように思います。

排気量F5(多い)

  • 中点:82.9℃
  • 1ハゼ:12:02
  • 2ハゼ:16:39
  • 煎り止め:16:43
  • 減少率:19.3%(254.0→205.0)
  • 味わい:香りに少し焦げを感じ、焦げの苦みも強い。質感は軽め。

排気を強めた結果、結局焦げ臭さを感じてしまう事態に。過剰排気にメリットは少なそう。

aillioの排気は9段階で調節でき、今回の検証で排気量のもっとも多いF5(ファンパワー5)の上にまだ4段階F9まで排気を強める事が可能ですが、投入量が150gと少量な上に、aillio使用者の多くは排気が強いと感じており、現段階でF5以上の検証は不要と判断しています。(今後追加検証の可能性あり)

排気量で焙煎進行が変化する理由

排気量(排気の強さ)によりドラム内の熱気の量が変化し、温度上昇に影響を与える。

焙煎検証には欠かせない当サイトのバイブル。

排気量が少ないと・・・

  • 熱された空気が滞留して、温度上昇ペースが速くなる。
  • 結果、酸味やフレーバーを強く感じる。
  • (焙煎進行が早く)生焼けになりやすい。
  • 排気が少な過ぎると焦げ臭(煙臭)が付着する可能性がある。

排気を抑える=熱の排出の排出を抑える、そして熱効率が良くなるという事で、言われてみれば当たり前といえますね。

排気が多いと・・・

  • 熱された空気が排出され、温度上昇ペースが遅くなる。
  • 結果、緩やかに加熱されるので雑味がなく淡泊な味わいになる。
  • 程度により炭化した苦みを感じる
  • ドラムからの伝導熱の割合が増え焦げやすい。

排気を増やす=熱気が排出され対流熱の割合が増える、焙煎機自体の温度が上がりにくくなる。どちらも焦げやすい焙煎の傾向です。

※生豆の投入量と焙煎傾向に関しては「Coffee Fanatic三神のスペシャルティコーヒー攻略本」より出典、参考にしております。

排気量と伝熱

コーヒー焙煎における「伝熱基本三形態」を理解して、排気量との関係を知る。

  • 伝導熱ドラムの鉄板と接触する事で伝わる熱はこの伝導熱にあたり、物体の表面に熱が加わりやすいのが特徴。
排気量が量が多いと、熱気が排出され、ドラム(鉄板)との接触による過熱の割合が増え、豆の表面に熱が加わり焦げやすい。
  • 輻射熱:直火式の焙煎機などで熱源の火から直接伝わる熱はこの輻射熱にあたり、伝導熱ほどではないが、物体の表面に熱が加わりやすいのが特徴。
排気の増減で、焙煎機自体の温度が変わるので、結果的にそれに比例すると予測される。
  • 対流熱:熱風式や半熱風式の焙煎機などで、熱せられた空気により伝わる熱はこの対流熱にあたり、物体の内部まで熱が伝わりやすいのが特徴。
排気量が少ないと、熱気が滞留する割合が増えることで、伝導熱よりも対流熱の効果を得やすいので、焦げにくく、豆内部まで熱が効率よく伝わるので進行が速い。
動画でも学べる「伝熱」

科学的考察で定評のある「ひつ研」ユーチューブチャンネルでもコーヒーの「伝熱」について解説されています☟

出典:ひつじ珈琲「ひつ研」様

もっと知りたい人は「ひつ研」のomoriさんも愛読する「コーヒーの科学」もおすすめ。

どれぐらいの排気量が良いのか

基本はニュートラル(中立点)に設定する。
となります。

焙煎機に入っていく熱気(熱風)と出ていく熱気が同じ量である状態をニュートラルと言います。今回説明したところでいうと焙煎機の排気が少なすぎず(焦げ臭が付着せず、進行が早くなり過ぎない)また多すぎない(熱気を逃がし過ぎて温度を下げない)程度、となります。

ザックリ言うと

排気量が少ないと・・・
酸味とフレーバーが強く、焦げ臭付着のリスクがある
排気量が多いと・・・
酸味とフレーバーが弱く、淡泊味わいで表面焦げしやすい。

上記の傾向を考えて好みのバランスに調整しましょう。

※焙煎機により前提条件が異なるので、あくまで相対的に考える上での参考程度に。

一見排、気が多い事はネガティブばかりに思えますが、程度によっては淡泊といったネガティブではなく「クリアな雑味のない味わい」といったポジティブな面を付加する事もあります。

まとめ

排気量が焙煎に与える影響とは

検証

「aillio Bullet」で投入温度、火力、ドラムの回転速度、煎り止め温度を200℃で固定して比較

排気量F1(少ない)の煎り止め時間【11:01】~F5(多い)の煎り止め時間【16分43秒】で比較すると、なんと同じ豆温度で煎り止めしたにも関わらず5分42秒もの差が出ました。

排気量で焙煎進行が変化する理由

排気量で、熱気の滞留する量が変化して、焙煎機の温度上昇ペースが変化する。

排気量が少ないと・・・

熱気が滞留して温度上昇が速くなり、酸味やフレーバーが強くなるが、生焼けや焦げ臭付着のリスク。

生豆の投入量が多いと・・・

熱気が排出され温度上昇が遅くなり、雑味が少なく淡泊な味わいになるが、表面焦げのリスク。

排気量と「伝熱」
  • 伝導熱:物体の表面に熱が加わりやすいのが特徴。表面焦げの原因になり、排気が多いほど伝導熱の割合が増える。
  • 輻射熱:伝導熱ほどではないが、物体の表面に熱が加わりやすいのが特徴。排気による変化に比例すると推測。
  • 対流熱:物体の内部まで熱が伝わりやすいのが特徴。排気が少ないほど対流熱の割合が増えるが、焦げ臭付着のリスクが高まる。
どれぐらいの回転速度が良いのか

はニュートラル(中立点)に設定する。

以上、コーヒーの焙煎における「排気量が伝熱に与える影響」を検証、解説しました。
排気量が間接的に温度に影響を及ぼしているという事は分かりましたが、排気による水分や揮発成分の量にさが出るのか、より深い考察ができそうな、まだ未開の領域です。

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