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【コーヒー焙煎】深煎りの検証と考察

焙煎
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コーヒー焙煎の深煎りについて、完全焙煎式とPS式の二つを比較しながら検証します。

深煎りの焙煎を分析する

コーヒーの焙煎、特に深煎りに特化して記述されている物として
軽井沢のコーヒー専門店「カワンルマー」のオーナー小野善造氏が書かれた「珈琲焙煎の書」で解説しているプロファイルと
海外の専門家からレクチャーを受け、その情報を公開しているファナティック三神氏のコーヒー情報サイト「Roast Design Coffee Blog」で紹介され、深煎りの焙煎にも言及されているPaul Songer氏のプロファイル

  • 小野善造氏が提唱する焙煎【完全焙煎式】
  • Paul Songer氏が提唱する【PS式】

焙煎時間にして約2倍の差がある2つのプロファイルを考察して比較していきます。

深煎り焙煎パターン①完全焙煎

究極の完全焙煎の味わいのポイントは・・・
濃厚な質感としっかりとしたボディー

軽井沢の名店「カワンルマー」のオーナーで、「珈琲焙煎の書」や「究極の自家焙煎術」の著者でもある小野善造氏が提唱した焙煎スタイルで

  1. ボトム温度を70℃前後、それから12分到達時に160℃になるよう火力を調節。
  2. 12分から本焙煎に移行17分1ハゼ185℃になるよう火力、ダンパーを調節。
  3. 1ハゼから6分後の23分で2ハゼ208℃になるよう火力、ダンパーを調節。
  4. 2ハゼ後はさらに火力を下げて、26分で218℃になるよう調節。
  5. 必要に応じて煎り込み(温度上昇しない程度で進行)を行いフレンチローストで煎り止め。


補足.究極の完全焙煎の考案者、小野氏によると・・・各ポイントでの温度上昇率を管理する事、ダンパーをニュートラル(中立点)に調整する事を特に重要視しているとの事。

※温度はすべて豆温度を表示。

出典:「珈琲焙煎の書」完全焙煎5つの手順

そして、この焙煎スタイルを検証で使うaillio(1キロ半熱風)に置き換えて修正したプロファイルがこちら☟

投入量150g
時間(分)温度補足
投入135℃焙煎開始
1:0070℃中点
12:00140℃水抜き終了
17:00165℃1ハゼ
23:00190℃2ハゼ
26:00200℃煎り止め
投入温度はドラム内温度で他は豆温度

aillioで150g焙煎した時の進行を究極の完全焙煎のGRN完全熱風式1キロ窯のプロファイルに置き換えると、豆温度で約20℃のひらきがあったのでそのまま20℃ずらしてプロファイルを作成。
投入量の開きがあるのでどうしてもずれます…笑

そして実際に焙煎したプロファイルがこちら☝

各ポイントの到達温度はピタッと決まったと思っています。
煎り止めの温度はもう一方のPS式の煎り止め温度となった197℃に合わせています。

※筆者はゴールドゴールド(yellowing)は水抜き終了とは考えておらず、香りで判断しているため、12分の140℃到達地点を水抜き終了としています。

浅煎り焙煎パターン②PS式

PS式の味わいのポイントは・・・
なめらかな質感とキレのある苦み

同氏もCOE(カップオブエクセレンス)の創始にも関わり、生化学、熱力学を用いた科学的知見に基づき構築した焙煎アプローチはCOE審査会での基準焙煎となり、各ヘッドジャッジに伝授されています。そんなPaul Songer氏が提唱した焙煎スタイルで

  1. 高温状態(ボトム110℃)を維持することで、豆表面の粒子化を促進し、質感の向上を図る
  2. 弱火を維持しつつ4〜5分でゴールドになるよう調整
  3. 7~8分で1ハゼに入る。(ゴールドから3分後)
  4. 11分前後で煎り止めるとミディアムレンジ。(フルフレーバー)
  5. 深煎りにする場合は13分で2ハゼに入るよう火力を調整する。


補足.PS式を解説しているファナティック三神氏によると・・・

165℃くらいで1ハゼに入ることが前提で、一ハゼから2、3分の170℃代で煎り止め。この温度感は、プロバットの1キロ窯での焙煎を想定している、との事。

※温度はすべて豆温度を表示。

出典:Roast Design Coffee Blog様

そして、この焙煎スタイルを検証で使うaillio(1キロ半熱風)に置き換えて修正したプロファイルがこちら☟

投入量150g
時間(分)温度補足
投入210℃焙煎開始
1:00110℃中点
4:00135℃ゴールド
7:00160℃1ハゼ
11:00175℃フルフレーバー
13:00190℃2ハゼ
13:30195℃煎り止め
投入温度はドラム内温度で他は豆温度

※前回の浅煎り検証時のPS式の投入温度と異なるのは室内気温の変化などによるものです。
PS式はプロバットの1キロ窯を想定したプロファイルという事で、同じ1キロな分、ボトムやハゼのタイミングは近い感覚のプロファイルを想定。

そして実際に焙煎したプロファイルがこちら☝

2ハゼの入りが想定より少し早い事を除けば、概ね狙い通りといった感じ。

それぞれの味わいの特徴

煎り止め温度はともに197℃で見た目には違いはなさそう。今回はドリップで抽出して飲み比べ。

サンプルは共に

  • コロンビアスプレモ
  • フルシティーロースト(焙煎後の重量減少率は共に17%~18%)

①完全焙煎式の味わい

  • とろみのある質感
  • 濃厚な甘みの後に重めの苦み
  • 後を引く後味
  • 弱い香り

②PS式の味わい

  • なめらかな質感
  • 甘みを感じた後のキレのある苦み
  • するっとした軽い後味
  • 漂うような香り

同じ豆でも焙煎時間が倍も違うと味の違いがハッキリとわかります。

まとめ

深煎り焙煎パターン①完全焙煎式

  • ボトム低め(今回約70℃)
  • 12分で水抜き終了
  • 17~18分で1ハゼ
  • 23分で2ハゼ

浅煎り焙煎パターン②PS式

  • ボトム温度110℃程度
  • 4〜5分でゴールド
  • ゴールドから3分で1ハゼ
  • 豆温度170℃台の11~12分でフルフレーバー
  • 13分で2ハゼ

それぞれの味わいの特徴

浅煎り焙煎パターン①GW式
濃厚な質感としっかりとしたボディー

浅煎り焙煎パターン②PS式
なめらかな質感とキレのある苦み

以上、コーヒー焙煎の浅煎りの検証と考察について解説しました。
完全焙煎式は「焙煎の書(小野善三氏)」の著書の内容を元に
PS式の一連の記述は「Roast Design Coffee Blog様(ファナティック三神氏)」の記事を元に、検証したものとなります。機材や技術の差でブレているところもありますので、参考程度にお考えください。

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