「自分で焙煎したコーヒーの味がエグい…。」
「嫌な酸味や、青臭さがあることも…。」
「生焼け」が原因かもしれません。
原因と解決方法を解説します。
コーヒー焙煎における生焼けとはどんな状態?

豆の内部の水分が抜け切らず、火が通っていない状態。
生焼けのコーヒーはどんな味なのか
- 香りに少し青臭さを感じる事もある
- 口に含んだ時に渋さを感じる
- 酸味とともにエグみを感じる
- 尖ったような嫌な酸味がある

渋さや酸味の質は豆の個性である可能性もあるのがややこしいところです。
生焼けとは、全体的に火が通っていない訳ではなく、豆の中心部の水分が抜け切らず、火が通っていない状態の事で、豆の内側の状態の事を指しています。
生焼けになる原因とは

コーヒーの生豆は熱が伝わりにくい。
高すぎる熱を与えると内部に熱が伝わらず、生焼けの原因となります。
火力が強すぎると、焙煎にどのように作用するのか、「コーヒーおいしさの方程式」には、このように記述されています。
・原則として熱は高いほうから低いほうにしか伝わらない。
・例えは熱風が300℃で豆の表面温度も300℃だったら、熱は豆に移動できない。
・鰹のたたきのように、表面だけ焼けて中は生のままの状態をつくってしまう。熱の移動には温度差が必要だからだ。
「コーヒーおいしさの方程式」80ページより引用
そして、コーヒー生豆とは、とても火が通りにくいんです。
コーヒー豆は熱伝導率が低いため、内部に熱が伝わるのにはじかんがかかる。コーヒー豆は銅の約4000分の1の伝導率で、木材とほぼ同じぐらい。
「コーヒーおいしさの方程式」103ページより引用
以上の引用から読み取れるのは
コーヒー生豆はとても内部熱が伝わりにくいので・・・
↓
急な加熱で強すぎる熱を与えると、内部に熱が伝わる前に表面だけ高温になり・・・
↓
内部に熱が伝わらない状態で焙煎が進行していく
この状態が生焼け(芯残り)です。
生焼けで焙煎が進むとどうなるのか
内部に残った水分により、香味に良くない化学反応が進みます。
豆内部に水分が残った状態で高い火力を与えると、クロロゲン酸という成分が加水分解(※)という反応を起こします。
するとどうなるのか、以下のように解説されています。
クロロゲン酸が加熱されると、加水分解が起き、キナ酸とカフェー酸に分解される。つまり1つの酸から2つの酸が産まれ、生豆中の酸の量が増える。
「コーヒーおいしさの方程式」104ページより引用
キナ酸はキウイフルーツを思わせる強い酸味があり、
カフェー酸は酸味と強い渋みを持つ。
このため、加水分解が起こると酸味と渋みとが増強されてしまう。
以上のことから、生焼けで焙煎を進めた場合、香味には良くない影響がある事がわかります。
(※)加水分解とは
反応物に水が反応し、分解生成物が得られる反応のことである。
ウィキペディア-加水分解より引用
では、どのように焙煎する事で生焼けは防げるのでしょうか?
生焼けにならない焙煎のコツ

焙煎前半の「水抜き」と「焙煎方式」が重要です。
180℃以下の温度で水抜きをする

焙煎開始から、1ハゼ(※)前までの工程を水抜き(※2)といいます。
この工程での温度を180℃以下にして、しっかり水分を抜くことでその後の焙煎で良い香味が成形されることがわかっています。
焙煎によってコーヒーの香味成分が出来上がるには、①水が少ない状態で、②概ね180℃以上の温度に達する事が必要。
「コーヒーおいしさの方程式」104ページより引用

上記のクロロゲン酸の「加水分解」を起こさせにくくさせる、という狙いの他にメイラード反応を促進させる狙いもあります。
(※)「1ハゼ」とは
焙煎の後半、温度上昇により内部の気体が気圧に耐えられなくなり、豆の細胞を破壊する音の事。パチパチと強めの音がする。
(※2)「水抜き」についてはこちら↓
直火式の場合は注意が必要

実は直火式での焙煎は生焼けになりやすいんです。
直火式とは穴のあいたドラム等に生豆を入れて、直接火をあてて焙煎する方式の事をいいます。
この方式の場合、熱源である火がとても高温。例えばガスコンロで焙煎する場合、火の温度は1900℃にもなるといわれます。
この火を直接あてる特徴上、半熱風式や熱風式と比べて、豆の表面温度が高温になりやすいく、より注意が必要になります。

火の位置を調節できるのであれば遠火にすることで、対策することができます。
まとめ
コーヒー焙煎における生焼けの原因と、生焼けにしないコツを解説しました。
生焼けとは
豆の内部の水分が抜け切らず、火が通っていない状態。
嫌な香味や酸味、渋みを引き起こします。
生焼けになる原因とは
コーヒーの生豆は熱が伝わりにくい。
高すぎる熱を与えると内部に熱が伝わらず、生焼けの原因となります。

生焼けで焙煎が進むと、内部に残った水分により、香味に良くない化学反応が進みます。
生焼けにならない焙煎のコツ
「水抜き」と「焙煎方式」が重要。
- 焙煎前半の「水抜き」の工程で温度を180℃以下にして、しっかり水分を抜くこと。
- 焙煎方式が「直火式」の場合、熱源からの火が高温となるため、より注意が必要。
以上、生焼けについての原因を理解して、生焼けにしないコツを上手く焙煎に活かしてもらえれば、幸いです。
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