コーヒーの焙煎で甘みを出す方法と焙煎のコツについて
- そもそもコーヒーの甘みとは?
- 甘味を出す方法、焙煎のコツについて
- 甘味がでやすい豆とは
解説していきまます。
コーヒーの甘みとは
✔︎焙煎したコーヒーに甘みを直接感じる成分はほぼ含まれていない
では、何がコーヒーの甘みを作っているのでしょうか?
コーヒーの甘みとは香り
✔︎コーヒーの甘みを感じさせる成分は主に香りである
以下、コーヒー専門書「コーヒーの科学」からの出典を参照☟
もともと生豆に含まれるショ糖の量は少ない上に、浅煎りの時点までにそのほとんどが熱分解されて、「(味覚としての)甘味」を感じるだけの濃度は残りません。〜省略、(しかし甘味を感じるのは)フラノン類によって生まれる「(風味としての)甘さ」だと考えれば上手く説明がつきます。
出典:「コーヒーの科学」149p
浅煎りのコーヒーに含まれるフラノン類(糖類を焦が時に感じる綿飴のような甘い香り)
深煎りのコーヒーに含まれるバニリン(アイスクリーム等に使われる香料)がそれぞれコーヒーの甘さの元となっています。
コーヒーの甘みを出す焙煎のコツ
参照①「コーヒーの科学」
✔︎しっかり熱を加えると甘味(の元となる香り)を引き出せるポイントがある
コーヒーの甘み成分であるフラノン類が生まれるのは、焙煎開始から数分程度(私の場合5分以降)の水抜き(※)が終わってメイラード反応が起きている時。
そして、このメイラード反応を促活発にするためには・・・
焙煎開始直後のまだ豆に水分が多い状態の時に熱を加えることによりショ糖やタンパク質が加水分解、つまり物質が分解されて増えることが良いとされています。(以下の引用を参照)
水分が残った状態(投入直後と推定)で、温度が上がると、ある種の化学反応が加速されます。加水分解と呼ばれる反応で、(これによりタンパク質や糖類が分解)水抜き後のメイラード反応という別の化学反応を起こしやすくなります。
出典:「ホーム・コーヒー・ロースティング」28p
(※)「水抜き」についてはこちら↓
本書の考察は科学的根拠があり信頼できますが、実際の焙煎に応用するにはあいまいです。そこで以下の2つのを参照します。☟
参照②「Coffee Fanatic 三神のスペシャルティコーヒー攻略本」
✔︎焙煎の傾向で相対的に甘みを含めた味わいをコントロールする
そもそも焙煎のアプローチはそれぞれの工程ごとに、その傾向により「Stir Fry」と「Bake」のどちらかに相対的に分類されるとし
「Stir Fry」
焙煎中の熱量が高く、比較的短時間、そして高撹拌で空気の対流の多い焙煎傾向。
中華鍋の炒め物の様に、かき混ぜながら高温で調理することを意味する。
味わいの傾向:酸味とフレーバーが優位になり、質感がなめらかになる
「Bake」
焙煎中の熱量が低く、比較的長時間、そして低撹拌で空気の対流の少ない焙煎傾向。
パンやオーブン料理の様に、比較的低温でじっくりと熱を加える調理すること意味する。
味わいの傾向:甘味と質感が優位になり、フレーバーが穏やかになる
つまり、Bake傾向の焙煎は甘味を感じやすい
焙煎中は焙煎者が任意のタイミングで火力調整や排気調整等を行いますが、この時の熱量の与え方によるドラム内環境は2つの焙煎傾向に大分されます。それがStir Fry(ステアフライ)とBake(ベイク)です。この両者の区分も明確な分岐点は存在しないので、~(省略)2つ以上の焙煎対比の中でそれぞれの方向性を確認します。
出典:「Coffee Fanatic 三神のスペシャルティーコーヒー攻略本」p91
ではBake傾向の焙煎をすれば甘みが出て美味しいコーヒーに仕上がるのか?いえいえ、そう単純な事でもなく、以下の参照に続きます☟
参照③「scottrao.com」
✔︎焙煎の後半にかけて温度上昇(RoR)を徐々に低下させる事で豊かな風味ある甘みを出す事に繋がる
図の上部の青いグラフ(豆温度)がどのぐらいの温度上昇(RoR)で推移しているのか示した物が下部の青いグラフ。
参照元のサイト管理人のスコットラオ氏は、下部の温度上昇グラフを滑らかに、そして徐々に低下する事で、豊な風味のある甘みを出す事に繋がると提唱しています。
※「豊な風味ある甘み」はCoffee Swamp管理人がスコットラオ氏の表現を個人的な解釈の上で表現した物となります。
先のグラフと比較すると、1ハゼ後に急な温度変化で温度上昇が急激に低下しているのが分かります。これがRoRクラッシュを引き起こし甘みが少なくなる原因とされています。
つまり、徐々に、そして滑らかに温度上昇を低下させた焙煎は豊な甘みが感じられ、逆に急な温度上昇の低下は甘味を減少させる可能性がある
ベイクドコーヒーの主な原因は顕著なRoRクラッシュ、より正確には RoRの急激な変化です。良く実行されたローストと比べて、ベイクドコーヒーは空洞で平らで、甘さが少ないようです。
出典:scottrao.com
※海外サイトをgoogleの自動翻訳機能で翻訳しているので、日本語としておかしな言い回し等は、一部変更しています。
参照②「「Coffee Fanatic 三神のスペシャルティコーヒー攻略本」でいうところの「Bake」はあくまでも焙煎傾向の表現として使われており、参照③「scottrao.com」で欠点とされる「Bake」とは異なるとされています。(すごくややこしくてすいません。)
焙煎で甘味が出やすいコーヒーとは
甘み(の元となる香り)が出やすい豆かどうかは生産地の標高と収穫年数が関係します。
標高
高地産の物の方が実が詰まって含水量が多くなる傾向になります。(コロンビアやエチオピアなど)
収穫年数
収穫から1年以内の新しい物はニュークロップと呼ばれ、生豆の含水量も多い傾向になります。
そして生豆に含まれる水分が多いことで熱を与えた時の加水分解が活発で、その後のメイラード反応も活発になり、強い香り(つまり甘味)を生みます。
高山地の豆は水分が多く固いので、火が中まで通りづらく、結果として甘味が出ない要因にもなり得ますし、逆もありますので、やや複雑です。
まとめ
以上、コーヒーの焙煎で甘みを出す方法と焙煎のコツについてについて解説しました。
本記事は、過去に投稿したものを現在(2023年6月)の知識と経験を交え、追記、修正したものとなります。Bakeについて理解するのは中々難しいと思いますので、今後当サイトでも解説できるよう、さらに知見と深めていければと思います。
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