コーヒー焙煎初心者におすすめの「手網焙煎」。焙煎のやり方やコツについて解説します。
手網焙煎に必要な道具

手網と生豆、それにうちわがあればできますが、熱源はカセットコンロがおすすめです。
必要な物
手網
Amazonで約1,500円〜3,000円の銀杏煎豆煎器。おすすめは20㎝で、豆量にして150gぐらいの焙煎が可能です。写真のタイプは蓋が固定されておらず挟み込むように握る必要がありますが、中の豆がすぐに確認できるのでおすすめ。写真の物はこちら
コーヒー生豆
ネットで簡単に買えます。Amazonでも買えるおすすめセットはこちら
うちわ
煎り止めた後に豆を冷ますのに使います。ドライヤーなどでもOK。
あると良いもの
カセットコンロ
ガスの家庭でも、家庭用のコンロの多くは安全装置が付いていて、高温になると勝手に火力を下げられます。なのでカセットコンロがおすすめ。ガスが少なくなっても火力が弱くならないおすすめのカセットコンロはこちら
焙煎手順

生豆をハンドピック(※1)したら網に入れてすぐ焙煎スタート。
- 火力は中火で固定
- 高さはコンロから15㎝(火力を上げる時に少し近づける)
- 攪拌は左右に細かく振る(1秒3振り)
焙煎量100g
| 時間 | 網の高さ | 補足 |
| 投入 | 15㎝ | 焙煎開始 |
| 3:00 | 15㎝ | チャフ(薄皮)が剥がれてくる |
| 5:00 | 15㎝ | 薄ら色づいてくる |
| 7:00 | 13㎝ | 豆が黄色くなったら少し網を火に近づける |
| 9:00 | 13㎝ | 1ハゼ(※2)ハゼたら元の高さに戻す |
| 12:00〜 | 15㎝ | 2ハゼがくる。この前後、目標の焙煎度で煎り止め。ザルにあげて冷却する |
緑色:生豆 黄色:水抜き 茶色:浅煎り〜中煎り 灰色:中深煎り〜深煎り
※1「ハンドピック」とは
豆を煎る前や後またはその両方で、異物や不良豆をチェックする作業のこと。詳しくはパンダ珈琲様より引用
※2「1ハゼ」とは
焙煎の後半、温度上昇により内部の気体が気圧に耐えられなくなり豆の細胞を破壊する音のこと。パチパチと強めの音がします。さらに焙煎を進めると二度目のハゼ「2ハゼ」が起こり、ピチピチと小さめの音がします。ここまで煎ったら深煎りに入ります。
実際に焙煎してみた
- ブラジルNo.2
- 100g
- 中深煎りで16分
火力は中火で固定。コンロから網までの距離は基本15㎝で、段階に応じて微調整します。

中火の強火ぐらい。

基本はコンロから15㎝の高さで。
点火・15㎝ 焙煎開始

ハンドピックが終わった生豆。
3分・15㎝ 豆が縮んで、チャフ(薄皮)が剥がれてくる

これ以降チャフで結構散らかります。
6分・15㎝ ほんのり色づいて、香ばしい香りが出てくる

9分・13㎝ 7分〜9分で更に色づき黄色くなるので、少し火に近づける

少しゴールドを過ぎたあたり。
12分・15㎝ 9分〜12分で1ハゼ。落ち着いたら少し火から離す

この段階で浅煎り〜中煎り。
15分・17㎝ 12分〜15分で2ハゼ。今回はこの後1分煎り込んで煎り止め

これ以降、中深煎り〜深煎り。
煎り上がり

16分で煎り止め、中深煎り。思ったより長くなってしまいましたが、ムラもなく香りも十分な香ばしさが感じられました。水抜きや煎り込みなど、少し焙煎がわかってくると意識するポイントも出てきますが、初心者のうちはまず感覚的に焙煎してみるのが良いかもしれません。
コーヒー手網焙煎のコツ
手網で美味しく焙煎するために「網の振り方」「火力は高さで調節」「焙煎時間を短めにする」という3つのコツがあります。
網の振り方

焙煎時の網の振り方がとても重要です。
ムラにならないように、あおるように網を振るやり方もありますが、高さが安定せず火力が不安定になりやすいため、左右に揺するように振るのがおすすめ。今回紹介している直径20㎝の物だと一度に焙煎できる豆の量は150g程度までがおすすめです。その範囲であれば十分きれいに焙煎することができます。
火力は高さで調節

手網の高さで火力を調節します。
手網焙煎はその性質上、コンロの火を直接使って焙煎します。これを生かして、火力調節は手網とコンロまでの高さで行うのがポイント。コンロの火力を調節するよりスピーディーかつ、慣れれば正確に火力の調節ができます。今回紹介する火力の強さ(中火程度)だとコンロから15㎝ぐらいの高さが目安です。
焙煎時間を短めにする

手網は手早く煎り上げると香りが良くなります。
手網焙煎は特殊なものを除き熱を留める構造がないため、水分や揮発性の香り成分が飛びやすくなります。中煎りなら、遅くとも12〜13分ぐらいで終わるのが目安です。ただし無理な火力調整は失敗の原因にもなるので、可能な範囲で手早く焙煎すればOKです。
コラム:1ハゼ後の時間を意識してみる
手網焙煎は温度計なしで感覚的に進めることが多いため、厳密なプロファイル管理は難しい面があります。ただ、一つ意識するだけで仕上がりの再現性が上がるポイントがあります。それが「1ハゼが来てから煎り止めるまでの時間」です。
コーヒー焙煎の研究者・Scott Rao氏は著書「The Coffee Roaster’s Companion」の中で、1ハゼ開始から煎り止めまでの時間が全体の焙煎時間に占める割合(DTR:Development Time Ratio)を意識することの重要性を述べています。この時間が短すぎると豆の内部まで十分に熱が入らず、発達不足になりやすいとされています。
手網焙煎でDTRを厳密に管理するのは現実的ではありませんが、「1ハゼが来てから最低でも1〜2分は焙煎を続ける」という意識を持つだけで、生焼け感のない仕上がりに近づきやすくなります。今回の検証でも1ハゼ(約12分)から煎り止め(16分)まで約4分確保できており、結果としてムラのない仕上がりにつながったと考えられます。
まとめ
以上、手網焙煎の方法と焙煎のコツを解説しました。
手網焙煎に必要な道具
手網・コーヒー生豆・うちわ(カセットコンロがあるとより安定します)
焙煎手順
生豆をハンドピックしたら網に入れてすぐ焙煎スタート。豆量100g・火力は中火・網の高さ15㎝・中煎りで12〜13分が目安。
手網焙煎の3つのコツ
- 網の振り方:高さが安定せず火力が不安定になるのを防ぐため、左右に揺するように振るのがおすすめ。
- 火力は高さで調節:手網とコンロまでの高さで火力を調節することで、スピーディーかつ正確なコントロールができる。
- 焙煎時間を短めにする:中煎りなら遅くとも12〜13分ぐらいで焙煎を終わらせることで、香りが飛びにくくなる。
感覚的にコーヒーの焙煎を楽しめて初期費用も抑えられる手網焙煎は、初心者にもおすすめです。しっかり換気して煙に注意しながら、楽しく焙煎してみてください。
今回の記事の参考文献はこちら
- The Coffee Roaster’s Companion(Scott Rao氏)

コメント