コーヒー本、特に焙煎について「スペシャルティコーヒー大全」のレビューになります。
スペシャルティコーヒー大全
◆技術編2,096円(AmazonKindle 価格)
◆知識編524円(AmazonKindle 価格)
※Amazon Kindle版はセール価格につき今後変わる可能性があります。
◆絶版に近い?のか新品の紙の書籍はAmazon等では取り扱いがなく、 NHK出版より購入できるようです。
(定価:3,960円(本体3,600円)送料 110円)
著者 田口護
刊行 2011年5月25日
概要
スペシャルティコーヒーのすべて
スペシャルティコーヒーとはいったいどこがスペシャルティなのか、業界の第一人者、田口護氏が何十年にわたり、実際に現地の農園を訪れ体験した生の経験からなる品種と精製方法などを軸に解説します。
他に類を見ない情報量での品種と精製についての記述。
ゲイシャやパナマラなど、今も注目される品種の生い立ちなどと合わせて、各国が取り組む精製やそれに付随するソーキング(※)について、詳細に解説されています。
(※)ソーキングとは
コーヒーの実を精製する際、果肉を除去して洗浄し、乾燥させる工程の前に、プールの清水に丸一日つけることで、生豆の含水量をならし、豆の状態や味わいをソフトにします。
例えば、ウォッシュドよりパルプドナチュラルの方が豆が柔らかくなり焙煎がしやすい等、かなり実用的な情報が多いです。
スペシャルティコーヒーの焙煎
本書いわく、「スペシャルティコーヒーの焙煎は、ただ煎ればよい、というものでもない。豆の個性やキャラクターを引き出す焙煎でならなくてはならないのだ。
不動の人気農園のスペシャルティのおすすめ焙煎度とプロフィールを紹介。
エスメラルダ農園のゲイシャやエスペランサ農園のパカマラなど、今もスペシャルティコーヒー界を牽引する農園の豆について、余すことなく記述して「システム珈琲学」に落とし込んだおすすめの焙煎度の説明は必見です。
現在も流通している物が多数あるので、実際に試せるのが良いですね。
スペシャルティコーヒーの販売
日本を代表する珈琲店「カフェバッハ」が、どんなルートでコーヒーを仕入れて、どのように販売しているのか、実例をまじえて紹介します。
COE入賞豆(※)など、一級品を仕入れる時のコツがわかる。
通販でも一級品の生豆が買える今でこそ、失敗したくない高価な豆の仕入や扱い方について知ることができます。
(※)COEとは
COEとはカップ・オブ・エクセレンスの略で、生産国ごとに催される品評会の事。入賞した豆はオークションなどに出品され高値で取引される。
販売の方法や従業員教育にまで言及されており、プロやこれから開業を考える人にはおすすめの情報です。
まとめ
1.知識編
スペシャルティコーヒーのすべて
- スペシャルティコーヒーとは
- スペシャルティコーヒーが市場に出るまで
- スペシャルティコーヒーのおいしさとは
2.技術編
スペシャルティコーヒーの焙煎
- システム珈琲学
- スペシャルティコーヒーの4分類
- 4タイプ別焙煎
- スペシャルティコーヒーの焙煎度
- 焙煎のストライクゾーン
- スペシャルティコーヒーの特性を生かす焙煎
- 焙煎のケーススタディ
- カップテスト
- スペシャルティコーヒーの抽出
3.実践編
スペシャルティコーヒーの販売
- スペシャルティコーヒーの仕入れ
- 販売方法と社員教育
以上、3章、14項について説明されています。
10年経っているとは思えない、今使える知識と情報がつまった一冊。
元SCAJ(日本スペシャルティーコーヒー協会)会長の田口護氏がコーヒー大全の続編として出した本書は、同氏の経験が直に反映された濃厚な読み応えで、2度3度と読み返したくなる素晴らしい本でした。
コメント