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コーヒー焙煎本「珈琲焙煎の書」」レビュー

コーヒー本
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コーヒー本、特に焙煎について「珈琲焙煎の書」のレビューになります。

珈琲焙煎の書

1,880円(Amazon)

編著 小野善造

刊行 2016年12月16日

概要

1.焙煎とは

焙煎することの形式的な意味というより、筆者の焙煎に対する考え方や思いが知れます。
「どれだけ時間がかかっても、正しい焙煎を自らの力によって習得しよう」この一文が印象的でした。
この言葉通り、焙煎に対して膨大な時間を費やしたどり着いた内のいくつかが語られています。

気になる内容の一部を紹介
  • 焙煎機のダンパーにおけるニュートラルの概念。
  • 排気ファンの強さを適切にするとバランスの良い焙煎が行える。
  • 豆を焙煎する熱源は大流熱、輻射熱、接触熱があり、それぞれコーヒー豆に与える熱の影響が異なる。

2.焙煎の本質

焙煎で生豆を煎る目的とは、生豆の青臭さや渋みえぐ味という不要な要素を取り除くために「熱科学変化を正常かつ完全に行うこと」と定義して
その手段として、筆者の説く完全焙煎を解説されています。

気になる内容の一部を紹介

長時間焙煎こそが「完全焙煎」である、として
予備焙煎12分、その後1分に4〜5℃の温度上昇ののち、17分〜18分に1ハゼ、23分程度で2ハゼがくるよう調整するとされています。

予備焙煎(水抜き)以降の温度上昇率が低いことが特徴と言えそうです。1ハゼから2ハゼでの間に5分!

3.焙煎の準備

焙煎所の照明や、排気や扉の開閉によ負圧の影響、焙煎機に投入する適切な生豆の量など、かなりニッチな内容ですが、他では得られない、まさにプロならではの内容。ここまでこだわっているのか、、、と驚かされました。

気になる内容の一部を紹介
  • 焙煎中の生豆の色を正確に見るには、無色に近い5000ケルビン(中白色の蛍光電球)が最適。
  • 5キロ焙煎機の場合、空気はガスの燃焼により1.6倍に膨張するので、毎秒10ℓの新鮮な空気が必要である。
  • 焙煎機の容量に対して80%の投入量、生豆1キロにたいして約9ℓならドラム容量が必要である。

4.基本的な焙煎の方法

筆者考案の「完全焙煎」を5つの手順に分けて説明されています。

  1. 焙煎機の暖機運転
  2. 予備焙煎
  3. 本焙煎
  4. 煎り込み
  5. 焙煎機の冷却

本書に書かれている内容から推測するとプロファイルは以下のようになります。

開始投入温度185℃

1分30秒中点70℃前後

12分予備焙煎(※)終了160℃
ここでガス圧を2割下げて、ダンパーを少し開く

17分〜18分1ハゼ185℃
ここでさらにガス圧を1割下げてダンパーを開く
195℃になったら23分で208℃になるようガス圧を修正する

23分2ハゼ208℃
煎り止め目標温度から5℃前の段階でガス圧を3分の1程下げて、温度上昇を止めて1分ほど煎り込みをして、から煎り止め、冷却
焙煎終了

※本書で予備焙煎とされている工程はおそらく水抜きの事を指していると思われます。

水抜き(本書における予備焙煎)後に火力を下げるのは、他ではあまり見ない手法です。筆者独自のこだわりから生まれた方法と言えそうです。

5.究極の完全焙煎

本章では、完全焙煎を行うために重要な各要素を、焙煎機の設備から深掘って解説しています。焙煎機製造業者顔負けのこれまたニッチな内容に感服…

本章の内容がこちら
  • 焙煎機についているダンパー(排気口)には色々な種類があった!(各ダンパーの構造を解説)
  • 焙煎機についているバーナーにも色々な種類がある。(各バーナーの解説の他、都市ガスとプロパンの違いもら解説)
  • 理想的な焙煎時間について考察
  • 予備焙煎について考察
  • 煎り込みについて考察

焙煎機のダンパー(排気)やバーナーの構造や種類を解説している本は他にはないかも。自分で焙煎機を作ろうと考えている方は一見の価値ありです。

6.コーヒーの抽出

本書は焙煎だけにとどまらず、コーヒーの抽出についても解説されています。

本章の内容がこちら
  • 抽出量ごとの粉量とお湯の注ぎ方。
  • 各焙煎度ごとの抽出に最適な温度の解説。
  • 抽出時に豆を粉砕するグラインダー(ミル)についても解説。

筆者おすすめのグラインダーはスイス製のディッティング社のグラインダーとの事。

7.コーヒーの基礎知識

主に、コーヒーの生豆について、欠点豆の種類や、国ごとの規格について、表を使ってわかりやすく解説されています。

本章の内容がこちら
  • 規格は国ごとに異なり、スクリーンサイズ(生豆の大きさ)・生産地の標高・欠品豆の数などがあり、それぞれを解説。
  • 国ごとの銘柄の定義の解説。
  • 40種類以上の生豆の品種について解説。
  • 生豆の構造を断面図を使って解説。
  • ナチュラル(非洗水式)、ウォッシュド(洗水式)の二つの精製方法について解説。

8.自家焙煎店の開業

コーヒーの自家焙煎店を開業する時のポイントや心構えを解説されています。場所選びや商品戦略的な要素についても触れられていて、実践的な内容となっています。

本章の内容がこちら
  • 物販業としての自家焙煎店
  • 場所選びのポイント
  • 成功のための必要条件
  • 出店するまでが勝負
  • 売り上げと顧客数底上げに有効なギフト戦略

まとめ

  1. 焙煎とは
  2. 焙煎の本質
  3. 焙煎の準備
  4. 基本的な焙煎の方法
  5. 究極の完全焙煎
  6. コーヒーの抽出
  7. コーヒーの基礎知識
  8. 自家焙煎店の開業

以上の8つについて解説されています。
実のところ、アマゾンのレビューでは辛口意見が目立ち、私自身購入を迷いましたが、著書の言い回しに傲慢さや、慢心を感じて不快感を感じる事もあると言うだけで、あくまでも著者の意見である事を踏まえて読めば、この本でしか得られない貴重な情報や学びがある良い本でした。

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