コーヒーと言えば、一般的には焙煎された豆から抽出される香ばしい飲み物を想像しますが、最近じわじわと注目を集めているのが「カスカラ(Cascara)」です。コーヒー好きなら知っておきたい、この新たな選択肢についてご紹介します。
カスカラとは?

✔︎「カスカラ」は、コーヒーチェリーの果皮と果肉部分を乾燥させたも
スペイン語で「殻」や「皮」という意味を持ち、通常はコーヒーの生産過程で捨てられる副産物でした。しかし、近年ではそのフルーティーでやさしい風味に注目が集まり、サステナブルな飲み物としても評価が高まっています。
味の特徴
✔︎カスカラティーは、コーヒーとは全く異なる味わいが特徴
- フルーティー(ドライフルーツ、レーズン、チェリー)
- 軽やかな酸味と自然な甘み
- カフェインはコーヒーより控えめ(約4分の1程度)

紅茶やフルーツティーに近い感覚で楽しめるため、カフェインが気になる方にもおすすめです。
カスカラの飲み方
- ホットティーとして
乾燥したカスカラをお湯で抽出し、3〜5分ほど蒸らしてから飲みます。 - アイスティーや炭酸割り
冷やして飲むと、フルーティーな味がより際立ちます。炭酸水で割るのも人気の飲み方です。 - シロップやカクテルにも
煮詰めてシロップにすると、カクテルやデザートにも応用できます。
カスカラの歴史

✔︎カスカラの歴史は古く、900年ごろにイエメンにコーヒーが伝わったことで「キシル」として飲用されるようになったのが始まりとされる
『静岡文化芸術大学の研究紀要-コーヒーチェリーはいかにして「食べ物」となったか-中南米におけるカスカとして-武田 淳』の研究では
コーヒーの起源として有名な2大説「ヤギ飼いカルディ伝説」と「シェーク・オマール説」は両説ともにコーヒーの豆(種子)ではなく果実を利用していたとされる点に注目。
そして実際にイエメンでは過去にコーヒーの実が貿易品としてお茶などに加工され輸出されていた例があるとし、コーヒーの種子ではなく果実(カスカラ)を加工し飲用(または食用)される文化はかなり古くからあったのではないかとされています。
また、イエメンやボリビアではコーヒーの飲めない貧困層が趣向やコーヒー代替を目的に嗜んでいたとされますが、コスタリカではサステナビリティ及び、フェアトレードを推進する取り組みを背景に広がったという違いがあり、現在、日本国内でも注目されつつある流の発端となったと言えそうです。
各国でのカスカラの呼称や利用法
イエメン
・ブン
コーヒーの果実を種ごと焙煎して煮出した飲み物
・キシル
コーヒーの果実から種子取り出す脱穀をした後に出る果皮と果肉が乾燥し殻のような形になったものを焙煎し、煮出した飲み物
ブンもキシルも通常のコーヒーもイエメンでは「カフア(アラビア語でのコーヒーを意味する)とされる
ボリビア
・スルタナ
乾燥させたコーヒーの果皮と果肉を焙煎し、湯に浸してお茶として飲用。1990年代に起きた「コーヒー危機」によりスルタナ(カスカラ)を商品として利用する動きが高まり同国首都のラパス市内レストランでも提供されるようになった
コスタリカ
・カスカラ
乾燥させたカスカラ(コーヒーの果皮と果肉)を湯に浸してお茶として飲む「カスカラティー」の他ジャムやシロップとしても利用されている
カスカラのもたらす健康効果

🍒 1. 抗酸化作用(ポリフェノール含有量)
製品や産地によって異なりますが、一般的には100gあたり0.8〜3.1g(800〜3,100mg)とされています 。これは、抗酸化作用が高いとされるアサイーの約15倍に相当すると言われています 。
カスカラには、1gあたり約100〜150mgのポリフェノールが含まれています。
これは、一般的な紅茶(約80〜100mg/g)や緑茶(約130mg/g)に匹敵する高い数値です。
ポリフェノールは体内の活性酸素を抑制し、動脈硬化や老化の予防に役立つとされます。
💧 2. 食物繊維含有量
カスカラは、非常に高い食物繊維含有量を誇る食品です。具体的には、100gあたり約65.8gの食物繊維が含まれており、そのうち約58.7gが不溶性食物繊維(IDF)、約8.0gが水溶性食物繊維(SDF)です 。この含有量は、一般的な全粒粉パンや豆類と比較しても非常に高く、健康志向の方々にとって魅力的な食品といえます。
また、別の研究では、カスカラの食物繊維含有量が100gあたり44.5gと報告されており 、製造方法や原料の違いによって含有量に差が生じることが示唆されています。一般的に、カスカラは50%以上の食物繊維を含むと考えられており、特に不溶性食物繊維が豊富です。
乾燥カスカラには、可溶性・不溶性の食物繊維が1杯あたり約1〜2g含まれています。
(※カスカラティー1杯=カスカラ5g抽出時)
腸内の善玉菌を育てるプレバイオティクス効果が期待でき、腸内環境を整えることで免疫力アップや便秘改善にも寄与します。
☕ 3. 低カフェイン+微量成分によるリラックス効果
カスカラはコーヒー豆に比べ、カフェイン量が約1/4〜1/6程度とかなり低めです。
(例:カスカラティー1杯あたり約20〜40mg、通常のコーヒーは約80〜120mg)
さらに、カスカラにはトリプトファン(リラックス作用を持つアミノ酸)も微量ながら含まれており、寝る前にも適したリラックスドリンクとして評価されています。
購入方法・注意点
まだ日本では珍しいですが、一部のスペシャルティコーヒー店やオンラインショップで購入できます。品質や産地に注意し、信頼できるショップを選ぶのがおすすめです。
生豆の卸もしている「海の向こうコーヒー」が家庭向けオンラインショップ「坂の途中OnlineShop」でカスカラ関連商品を販売中。

カスカラは、単なるコーヒーの副産物ではなく、
高ポリフェノール・低カフェイン・食物繊維豊富という、
科学的にも裏付けられた健康効果を持つ“未利用資源”の宝庫です。
さらに、通常は廃棄される果皮を活用することで、
環境にやさしいライフスタイルの一部としても注目を集めています。
🌿 美味しく、身体にやさしく、そして地球にもやさしい。
そんな一杯を、あなたの生活にも取り入れてみませんか?
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