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【コーヒー焙煎】投入量別焙煎比較と伝熱への影響を考察

焙煎
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同じ条件で焙煎する量を変えた場合、焙煎の進行にどの程度影響するのか、専門書で少し触れられている物もあるようですが実際のところは・・・
ということで

  • 投入量別焙煎比較
  • 投入量の変化で焙煎進行はどの程度変化するのか
  • どの程度の投入量がよいのか

解説していきます。

投入量別焙煎比較

投入量が「150g・350g・550g」でどのような差が出るのか、焙煎、検証します。

写真ではわかりにくいですが、投入量が多くなるにつれ、かなり浅くなっています。

筆者の所有する焙煎機「aillio Bullet」でドラムの回転速度、火力、煎り止め温度を190℃で固定して比較していきます。

投入量(150g)

  • 中点:93.5℃
  • 1ハゼ:6:06
  • 2ハゼ:8:15
  • 煎り止め:8:16
  • 減少率:18.1%(150.0→122.8)
  • 味わい:焙煎が深い分苦みと甘みがバランスよく感じる

かなり速いテンポでの焙煎で、生焼け気味になると思いきや、えぐみも少なく良質な酸味も感じることができました。(対流熱の割合が多いからかな?)

投入量(350g)

  • 中点:81.0℃
  • 1ハゼ:9:12
  • 2ハゼ:-
  • 煎り止め:10:05
  • 減少率:15.3%(350.0→296.5)
  • 味わい:甘みが出てきたが、若干のえぐみがある。

2ハゼには入らず、焙煎時間も約3分短くなりました。

投入量(550g)

  • 中点:72.4℃
  • 1ハゼ:12:41
  • 2ハゼ:ー
  • 煎り止め:12:49
  • 減少率:14.3%(550.0→471.5)
  • 味わい:浅煎りのわりにはゆっくり進行したので、優しい酸味と黒糖のような甘み。

無論焙煎時間は最も長くなり、焙煎も浅く1ハゼすぐに煎り止めとなりました。

投入量で焙煎進行が変化する理由

生豆の投入量で、豆とドラム側面(鉄板)の接触時間と空気との接触時間が変化する。

生豆の投入量が少ないと・・・

  • 豆とドラム側面の接触時間は減少して、空気との接触時間が増える。
  • 結果、苦みやテイスト(味わい)は弱く、酸味やフレーバーを強く感じる。
  • 豆温度よりドラム内温度が高くなりやすい。
  • (焙煎進行が早く)生焼けになりやすい。

投入量は間接的に豆に与えられるカロリーを変えているので、少量の焙煎が高火力、時短焙煎の傾向になりやすいです。

生豆の投入量が多いと・・・

  • 豆とドラム側面の接触時間は増加して、空気との接触時間は減少する。
  • 結果、苦みやテイスト(味わい)は強く、酸味やフレーバーが弱く感じる。
  • 豆温度とドラム内温度の差が小さくなりやすい。
  • (ドラムからの伝導熱で)焦げやすい。

投入量が増えると必然的に熱量に対しての豆温度の上昇が緩やかになり、焙煎時間も長くなりやすいです。

※生豆の投入量と焙煎傾向に関しては「Coffee Fanatic三神のスペシャルティコーヒー攻略本」より出典、参考にしております。

投入量と伝熱

コーヒー焙煎における「伝熱基本三形態」を理解して、生豆の投入量との関係を知る。

  • 伝導熱ドラムの鉄板と接触する事で伝わる熱はこの伝導熱にあたり、物体の表面に熱が加わりやすいのが特徴。
生豆の投入量が多いと、ドラム(鉄板)との接触時間は長くなるため、豆の表面に熱が加わり焦げやすい。
  • 輻射熱:直火式の焙煎機などで熱源の火から直接伝わる熱はこの輻射熱にあたり、伝導熱ほどではないが、物体の表面に熱が加わりやすいのが特徴。
直火式の焙煎機の場合、この輻射熱による影響でより焦げやなすくなっているので注意が必要
  • 対流熱:熱風式や半熱風式の焙煎機などで、熱せられた空気により伝わる熱はこの対流熱にあたり、物体の内部まで熱が伝わりやすいのが特徴。
生豆の投入量が少ないと、ドラム(鉄板)との接触時間は短くなるため、伝導熱よりも対流熱の効果が得やすいので、焦げにくく、豆内部まで熱が効率よく伝わるので進行が速い。
動画でも学べる「伝熱」

科学的考察で定評のある「ひつ研」ユーチューブチャンネルでもコーヒーの「伝熱」について解説されています☟

出典:ひつじ珈琲「ひつ研」様

もっと知りたい人は「ひつ研」のomoriさんも愛読する「コーヒーの科学」もおすすめ。

どれぐらいの投入量が良いのか

結論、出したい味わいによる。
というところですが、それだと(参考にならず)こまる方には

焙煎機の容量の半分の量で焙煎し、必要に応じて増減させて調整すると良いと思います。
注意点として、容量に対して投入量が少ないと、焙煎操作(火力調整等)による反応も大きく、コントロールが難しくなる、投入量が多いと、熱量不足になりやすく間延びして、平坦な味になりやすい、と言ったところでしょうか。

ザックリ言うと

投入量が少ないと・・・
酸味とフレーバーが強く、甘み、質感が弱く
回転速度が速いと・・・
酸味とフレーバーが弱く、甘み、質感が強く

上記の傾向を考えて好みのバランスに調整しましょう。

※焙煎機により前提条件が異なるので、あくまで相対的に考える上での参考程度に。

焙煎機の種類や構造にもよりますが、メーカーによっては投入量や焙煎傾向によって温度表示の傾向が変化します。各焙煎量で水抜き終了やハゼがどの辺りの温度でくるの確認しておきましょう。

まとめ

生豆の投入量がコーヒーの焙煎に与える影響とは

検証

「aillio Bullet」で投入温度、火力、ドラムの回転速度、煎り止め温度を190℃で固定して比較

投入量150g(少ない)の煎り止め時間【8:16】~550g(多い)の煎り止め時間【12分49秒】で比較するとなんと同じ豆温度で煎り止めしたにも関わらず4分33秒もの差が出ました。

投入量で焙煎進行が変化する理由

生豆の投入量で、豆とドラム側面(鉄板)の接触時間が変化する。

生豆の投入量が少ないと・・・

豆とドラム側面の接触時間は減少、空気との接触時間が増加。酸味やフレーバーが強く。

生豆の投入量が多いと・・・

豆とドラム側面の接触時間は増加、空気との接触時間が減少。苦みやテイスト(味わい)が強く。

投入量と「伝熱」
  • 伝導熱:物体の表面に熱が加わりやすいのが特徴。投入量が増えることで撹拌効率が下がり、伝導熱の割合が増加。
  • 輻射熱:伝導熱ほどではないが、物体の表面に熱が加わりやすいのが特徴。今回の考察で推測できる範囲は少ないと考える。
  • 対流熱:物体の内部まで熱が伝わりやすいのが特徴。投入量が少ないほど熱気に触れる機会が高まり、対流熱の割合が増加。
どれぐらいの投入量が良いのか

結論、出したい味わいによる。
まずは焙煎機の容量の半分の量で焙煎し、そこから調整していくのがおすすめ。

以上、コーヒーの焙煎における「生豆の投入量が焙煎に与える影響」を検証、解説しました。
回転速度の考察と同じく、ドラムへの豆の触れる頻度が焙煎傾向に大きく関わってくるという点で、共通する項目が多いと言えそうです。

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