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【コーヒー焙煎】ドラムの回転速度別焙煎比較と伝熱への影響を考察

焙煎
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焙煎中のドラムの回転速度が、味わいにどのように影響するのか、専門書で少し触れられている物もあるようですが実際のところは・・・
ということで

  • 回転速度別焙煎比較
  • なぜドラムの回転速度で味わいが変わるのか
  • どれぐらいの回転速度がよいのか

解説していきます。

回転速度別焙煎比較

ドラムの回転速度が「遅い・普通・早い」でどのような差が出るのか、焙煎、検証します。

筆者の所有する焙煎機「aillio Bullet」はドラムの回転速度を1~9の9段階変速ができるので「1・5・9」の速度で、投入温度、火力、煎り止め温度を190℃で固定して比較していきます。

回転速度1(遅い)

  • 中点:82.3℃
  • 1ハゼ:8:12
  • 2ハゼ:10:32
  • 煎り止め:10:45
  • 減少率:16.9%(154.0g→127.4)
  • 一回転あたり/秒:1.5秒
  • 味わい:苦みが強く、香もどこかスモーキー。

見出しの写真一番左になります。見ての通り、二ハゼに入り少し油がでてきています。

回転速度5(普通)

  • 中点:79.5℃
  • 1ハゼ:8:06
  • 2ハゼ:-
  • 煎り止め:10:01
  • 減少率:15.2%(153.5→130.2)
  • 一回転あたり/秒:1.2秒
  • 味わい:甘みがあり苦みも少ない。

こちらは1ハゼのピークが過ぎたあたりで目標温度到達。遅いに比べてかなり浅いのがわかります。

回転速度9(速い)

  • 中点:83.6
  • 1ハゼ:7:14
  • 2ハゼ:9:14
  • 煎り止め:9:23
  • 減少率:15.3(153.1→129.7)
  • 一回転あたり/秒:0.7秒
  • 味わい:香は感じたが、甘みが少なく淡泊。

2ハゼがなり始めたところで目標温度到達。目標温度までの到達スピードや、進行に対しての色味など、他との違いがハッキリ出ました。

回転速度で焙煎進行が変化する理由

ドラムの回転速度で、豆とドラム側面(鉄板)の接触回数と接触時間が変化する。

ドラムの回転速度が遅いと・・・

  • 豆とドラム側面の接触回数は低下(低撹拌)して、接触時間は増加する。
  • 結果、苦みやテイスト(味わい)を強く感じる。
  • 焦げやすい。

WCRC(ワールド・コーヒー・ロースティング・カップ)のチャンピオンである後藤氏は「人気店のコーヒー焙煎」にて後半の回転速度を落としてあえてボディー(味わい)を強くするとのニュアンスのコメントをしていたり☟

作ったバランスを保ったままボディを微調整する場合、ドラムの回転数を変える。

出典:人気店のコーヒー焙煎

ドラムの回転速度が速いと・・・

  • 豆とドラム側面の接触回数は増加(高撹拌)して、接触時間は減少する。
  • 結果、苦みやテイスト(味わい)は弱く、クリーン(雑味が少ない)に感じる。
  • 焦げにくい。

焦げにくく、熱効率が良くなる分、生焼けにもなり難く、進行が速い事を除けば失敗しにくい傾向と言えます。

※回転速度と焙煎傾向に関しては「Coffee Fanatic三神のスペシャルティコーヒー攻略本」より出典、参考にしております。

回転速度と伝熱

コーヒー焙煎における「伝熱基本三形態」を理解して、ドラムの回転速度との関係を知る。

  • 伝導熱ドラムの鉄板と接触する事で伝わる熱はこの伝導熱にあたり、物体の表面に熱が加わりやすいのが特徴。
ドラムの回転速度が遅いと、ドラム(鉄板)との接触回数は少なく、接触時間は長くなるため、豆の表面に熱が加わり焦げやすい。
  • 輻射熱:直火式の焙煎機などで熱源の火から直接伝わる熱はこの輻射熱にあたり、伝導熱ほどではないが、物体の表面に熱が加わりやすいのが特徴。
直火式の焙煎機の場合、この輻射熱による影響でより焦げやなすくなっているので注意が必要
  • 対流熱:熱風式や半熱風式の焙煎機などで、熱せられた空気により伝わる熱はこの対流熱にあたり、物体の内部まで熱が伝わりやすいのが特徴。
ドラムの回転速度が速いと、ドラム(鉄板)との接触回数が多く、接触時間は短くなるため、伝導熱よりも対流熱の効果が得やすいので、焦げにくく、豆内部まで熱が効率よく伝わるので進行が速い。
動画でも学べる「伝熱」

科学的考察で定評のある「ひつ研」ユーチューブチャンネルでもコーヒーの「伝熱」について解説されています☟

出典:ひつじ珈琲「ひつ研」様

もっと知りたい人は「ひつ研」のomoriさんも愛読する「コーヒーの科学」もおすすめ。

どれぐらいの回転速度が良いのか

結論、出したい味わいによる。
というところですが、それだと(参考にならず)こまる方には

基本的には1周するのに大体1秒が基準なんて言われており、今回の検証でも、周/1.2秒(普通)と周/0.7秒(速い)では焦げた味わいは感じられず、そういった面でもある程度参考にはできそうです。

ザックリ言うと

回転速度が遅いと・・・
苦く、濃く、焦げやすい
回転速度が速いと・・・
苦みが少なく、薄く、焦げにくい

上記の傾向を考えて好みのバランスに調整しましょう。

※焙煎機により前提条件が異なるので、あくまで相対的に考える上での参考程度に。

まとめ

ドラムの回転速度がコーヒーの焙煎に与える影響とは

検証

「aillio Bullet」はドラムの回転速度を1~9の9段階変速ができるので「1・5・9」の速度で、投入温度、火力、煎り止め温度を190℃で固定して比較

回転速度1(遅い)の煎り止め時間【10:45】~9(速い)の煎り止め時間【9分23秒】で比較するとなんと同じ豆温度で煎り止めしたにも関わらず1分22秒もの差が出ました。

回転速度で焙煎進行が変化する理由

ドラムの回転速度で、豆とドラム側面(鉄板)の接触回数と接触時間が変化する。

ドラムの回転速度が遅いと・・・

豆とドラム側面の接触回数は低下、接触時間は増加。苦みやテイストが強く。焦げやすい。

ドラムの回転速度が速いと・・・

豆とドラム側面の接触回数は増加、接触時間は減少。苦みやテイストは弱く、クリーン。焦げにくい。

回転速度と「伝熱」
  • 伝導熱ドラムの鉄板と接触する事で伝わる熱はこの伝導熱にあたり、物体の表面に熱が加わりやすいのが特徴。
  • 輻射熱:直火式の焙煎機などで熱源の火から直接伝わる熱はこの輻射熱にあたり、伝導熱ほどではないが、物体の表面に熱が加わりやすいのが特徴。
  • 対流熱:熱風式や半熱風式の焙煎機などで、熱せられた空気により伝わる熱はこの対流熱にあたり、物体の内部まで熱が伝わりやすいのが特徴。
どれぐらいの回転速度が良いのか

結論、出したい味わいによる。
基本的には1周するのに大体1秒が基準などとも。

以上、コーヒーの焙煎における「ドラムの回転速度が焙煎に与える影響」を検証、解説しました。
結局何が正解なのかハッキリ答える事が出来ないもどかしさと、そんなところが面白いといういつもの感じですが、コーヒーは何事においても「相対的」な世界だと思いますので、対比となる体験を増やしましょうということで。

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